『岩石』第5回(最終回) 変成岩・マントル | 奈良の鹿たち

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『岩石』

第5回(最終回)

「変成岩・マントル」

 

 

火成岩は地下のマグマが地表へと上昇する間に冷えて固まって結晶化することでできた岩石で、いろいろな鉱物の結晶が集まって出来ています。マグマが地表や地表近くで急激に冷やされて固化して形成された岩石が火山岩です。それに対して、地下深くで、マグマがゆっくりと冷え固まって形成された岩石が深成岩です。

こうしてできた火成岩は、やがて地表で浸食や風化で砕けて、そして水や風の影響で堆積し堆積物となります。この堆積物が圧力や化学物質によって変化し、再び固まったものが堆積岩です。

次に火成岩や堆積岩が、熱や圧力などの変成作用を受けて変質したものが変成岩です。いずれにせよ岩石の起源の大本は火成岩です。

 

 

 

 

Ⅲ.変成岩(へんせいがん)

地下の高温や高圧によって岩石に含まれる鉱物の種類や岩石のつくりが変化する(再結晶化)ことがあります。この働きを「変成作用」といい、変成作用によってできた岩石を変成岩といいます。

変成岩の分類には、原岩の種類や温度・圧力条件など、幾つかの基準があります。温度・圧力の程度は岩石の組織に反映され、変成作用の特徴も表しうるため、組織を基準にした分類がよく行われます。もともと堆積岩や火成岩であったものが、最初にできたときとは異なる条件(高温・高圧など)下で、変成作用を受けて鉱物組成や組織(内部構造)が変化して形成されます。火山の火道などで高温のマグマに接触し、その周囲の岩石が高温を被って変成作用を受けた岩石を接触変成岩といいます。マグマからやや離れたところで変化をしたり、プレートテクトニクスによってプレートが潜り込むなど地殻変動により深部に埋没し広域に高温、高圧に晒され、変成作用を受けた岩石を広域変成岩といいます。広域変成岩は、再結晶化の程度により、結晶片岩、片麻岩などにさらに分類されます。

 

(1) マグマの熱により変成したもの:接触変成作用(マグマ貫入による熱で起こる変成作用)によって生成した岩石。小さな結晶がすきまなく組み合わさっている特徴があります。

①   ホルンフェルス:泥岩や砂岩が接触変成作用によって生成した岩石。深成岩が貫入するとき

に、周りにあった地層はマグマの高い熱のために再結晶し、一般にち密で硬い石のホルンフェル

スに変わります。組織に著しい方向性のない(無方向組織)変成岩で、泥岩が変成し暗い黒色のものは泥質ホルンフェルス、砂岩が変成したやや明るい灰色のものは砂質ホルンフェルスといいます。

山口県萩市の須佐湾にある露頭の須佐ホルンフェルスは有名です。

 

② 結晶質石灰岩(大理石):石灰岩が接触変成作用を受けて再結晶して粗粒になってできた岩

石。接触変成作用で、もとの石灰岩に含まれていた不純物が取り除かれ,純白色に近い色をして

いるものが多い。ほとんど方解石の粒子だけから出来ており,割れ口はその粒子がキラキラと反

射します。製鉄,セメントなどの原料として用いられます。

きれいな模様があるものは「大理石」と称し,装飾石材としても利用されます。

 

(1) 地下深部の熱と圧力により変成したもの:結晶が同じ方向に並んでいるため、薄くはがれやすい特徴があります。

①  (結晶)片岩(へんがん):強い力によって鉱物の結晶が一定方向に並んで縞模様を作ったり、一定方向に割れやすくなったりします。構成鉱物粒が肉眼でみとめられる程度に粗粒であるものは結晶片岩といいます。

広域変成作用を受けて片理と呼ばれる顕著な面構造が発達した変成岩で、薄く割れる特徴があ

ります。また、変成する以前の岩石(原岩)の違いにより色が異なり、苦鉄質火成岩などを起源とする緑色片岩、泥岩などを起源とする黒色片岩、砂岩などを起源とする珪質片岩(淡色系)などに区別されています。

 

②   千枚岩(せんまいがん):変成度の低い変成岩の1種。 粘板岩よりも変成度が高く、結晶片岩よりは変成度の低い、泥岩などの泥質な堆積岩を源岩とする変成岩。粘板岩低温圧力で変成が少し進んだ泥岩ですが、変成岩になるほど変成されていません。粘土が堆積した岩石は、固結度や剥離性の発達の度合い、変成度によって、泥岩→ケツ岩→粘板岩→千枚岩→泥質片岩(黒色片岩)と名前が変わります。

 

③  片麻岩(へんまがん):高い熱と圧力(広域変成作用)を受けて縞状の組織(片麻状組織)を持つようになった岩石。片岩同様、強い面構造を持った岩石ですが、片岩より粗粒であるため、片岩ほど剥がれやすくはない。片岩より高温(> 600℃)で変成作用を受けたため、鉱物が大きく成長しており、雲母やザクロ石などが肉眼で確認できることが多い。

 

④   蛇紋岩(じゃもんがん)カンラン岩が熱水により変質作用を受けて出来た岩石。主に蛇紋石からなり、少量の磁鉄鉱・クロマイト・炭酸塩鉱物などの鉱物を伴う岩石。超苦鉄質岩が変質を受けると、その主な構成鉱物であるカンラン石や輝石が蛇紋石化して蛇紋岩ができます。アスベストの多くはこの蛇紋岩に伴って産出します。

 

Ⅳ.地下深くマントルでつくられた岩石

  カンラン岩:マントル上部を構成する主要な岩石。地下深くのマントルが、火山の働きや断層の働きなどによって捕獲岩として上昇してくることで見られるようになります。そのため地表に露出することは稀で、特殊な地域にしか分布しません(北海道アポイ岳)。カンラン岩、主にカンラン石と輝石が構成しており、斜長石やスピネルを含んでいることもあります。色はカンラ

ン石の色を反映した明るい緑色をしています。粗粒であるために、一つ一つの鉱物がはっきり

肉眼で確認できることが多い。カンラン石は変質に弱く、変質すると蛇紋石という鉱物になります。他の超塩基性岩類や塩基性岩などと共にオフィオライトの一部を構成することが多い。 カンラン岩は、地下深くのマントルから上がってくる過程で、水分と反応して「蛇紋岩」という別の岩石に変化してしまうことが多いのですが、北海道のアポイ岳のそれはほとんど変質することなく地上に現れています(「幌満カンラン岩」)。

その美しい結晶は8月の誕生石「ペリドット」という宝石になります。

 

 

 

 

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『岩石』全5回 完

 

 

(担当 G)

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