『古墳』第10回 上円下方墳 | 奈良の鹿たち

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『古墳』

第10回 

「上円下方墳」

(じょうえんかほうふん)

 

 

 

この形式の古墳は二段になっており、下段が方形、上段が円形となっています。

古墳時代の終わり頃(7世紀前半~8世紀)に造られました。

極めて稀な形態であり、これまでに6例しか確認されていません。

最初にこの形式が確認されたのは石のカラト古墳(奈良県奈良市・京都府相楽郡木津町)

続いて清水柳北1号墳(静岡県沼津市)、武蔵府中熊野神社古墳(東京都府中市)、天文台構内古墳(東京都三鷹市)、野地久保古墳(福島県白河市)、山王塚古墳(埼玉県川越市)の順に上円下方墳と認定されました。

明治天皇の伏見桃山陵、大正天皇の多摩陵、昭和天皇の武蔵野陵はこの上円下方墳の形式です。

 

天智天皇の御廟野古墳は上段が円ではなく八角形ですが、ここではこの古墳を上円下方墳に含めます。

また石舞台古墳も上円下方墳であった可能性があります。

御廟野古墳(ごびょうのこふん)(京都市)

上円(八角)対辺長約46m、下方辺長約70m、高さ8m。

方形墳の上に八角形の墳丘を造っている。いわば上八角下方墳。

「山科陵(やましなのみささぎ)」として第38代天智天皇の陵に治定されている。

 

山王塚古墳(さんのうづかこふん)(埼玉県川越市)

一段目下方部は一辺約63m、二段目上円部は直径約47m、全体の高さ約4.5m。

確実な上円下方墳の中では全国で最大。

7世紀後半の築造。

武蔵府中熊野神社古墳(むさしふちゅうくまのじんじゃこふん)(東京都府中市)

7世紀中頃から後半の築造。

一段目方形部が一辺32m、二段目方形部が一辺23m、三段目円丘部が直径16m、全体の高さは6m。

墳丘の表面は、二段目・三段目の全面に石が葺かれ、一段目の外周に切石が並べられている。墳丘の中心部に、3室から成る複室構造の切石積横穴式石室があり、石室下には掘り込み地業が行われています。石室の切石は表面を滑らかにする細かな仕上加工が施されている。

石のカラト古墳(いしのからとこふん)(奈良県奈良市・京都府木津町)

7世紀末から8世紀初頭築造と推定。

下方部は一辺約14m、上円部は直径約9m、全体の高さは約3m。

清水柳北1号墳(しみずやなぎきたいちごうふん)(静岡県沼津市)

8世紀初頭築造と推定。

一段目の下方部は一辺12m・高さ約1m、二段目の上円部は直径9m・高さ約1m。

 

 

   

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次回は 第11回「四隅突出型墳丘墓①」

 

 

(担当 H)

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