『古墳』
第7回
「双方中円墳」
(そうほうちゅうえんふん)
双方中円墳は、古墳の形式のひとつ。円形の主丘の前後両側に方形の突出部2つが接続する形式です。古墳時代前期(4世紀前後)と見られます。
この墳形はこれまで全国で4例が知られるのみで(2015年時点)、そのうちでも櫛山古墳は片方の突出部が小さい。なお、楯築墳丘墓のように弥生時代のもので双方中円形を採るものがあり、これの定型化したものが前方後円墳・双方中円墳になると見られています。
●櫛山古墳(くしやまこふん)(奈良県天理市)
柳本古墳群に属す。
4世紀の築造(古墳時代前期から中期への過渡的な古墳)。
墳丘長152m、中円部直径約90m、前方部の長さおよび幅とも60m、後方部の長さ25m。
二つの方形突出部がほぼ均等な大きさでなく、は造出しのように短く、普通の前方後円墳にもう一つの短い造り出しの前方部を付けたような形状になっている。
段築は中円部と後方部は三段、前方部は二段に築かれている。
中円部の頂上で長さ7.1m、幅1.4mの竪穴式石室が埋まっていた。
石清尾山古墳群は、200基を超える円墳や積石塚や盛土墳が築造されている。6世紀後半から7世紀前半にかけて、横穴式石室を有する安山岩で構築された盛土墳が造られた。
積石塚のうち猫塚古墳、鏡塚古墳、稲荷山北端古墳が双方中円墳にあたる。
・猫塚古墳:全長は約96m、高さは約5mの双方中円墳。石清尾山古墳群の中でも最も古いものの一つ。(中央の白い部分は盗掘の跡)
・鏡塚古墳:全長は約70m、高さは約3.6mの双方中円墳。
・稲荷山北端1号古墳:未確定だが全長は60~70mと推定されている。
●楯築墳丘墓(たてつきふんきゅうぼ)(岡山県倉敷市)
弥生時代後期(2世紀後半~3世紀前半の)の墳丘墓。
直径約43m、高さ4~5mの不整円形の主丘に北東・南西側にそれぞれ方形の突出部を持ち、現在確認されている突出部両端の全長は72mで同時期の弥生墳丘墓としては日本最大級である。これの定型化したものが前方後円墳・双方中円墳になると見られている。
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次回は 第8回「八角墳・六角墳」
(担当H)
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