『古墳』
第5回
「帆立貝式(形)古墳」
(ほたてがいしきこふん)
帆立貝式(形)古墳の特徴は、前方部の形状と規模は前方後円墳と比較すると小さく、どの墳丘も大体同じ大きさです。古墳時代中期に多く,全国では400例を超えました。
帆立貝式古墳には以下の2種類がありますが、実際には判断の困難な場合が少なくありません。
- 円墳に方形の造り出しがつくもの
- 前方後円墳の前方部が短小化したもの
前者には奈良県の乙女山古墳があり、後者には群馬県の赤堀茶臼山古墳があげられます。前者は、ほぼ中期初頭に出現し前方後円墳に造り出しが付く時期と一致し、円墳に祭祀の場として造り出しを付設したものと理解することができます。
後者の場合、それまで前方後円墳を築造していた各地の首長の一部に対し、大和政権が墳丘を形の上で規制、差別化したとする見方があります。
大型前方後円墳の陪冢(ばいちよう)的位置にある場合もありますが,地域によっては古墳群の中心をなす場合もあります。
米 行燈山古墳は前方後円墳ともみられる
●行燈山古墳(あんどんやまこふん)(奈良県天理市)
前方後円墳に分類される場合が多い。
墳丘は三段築成。墳丘長は242m(全国では16位の大きさ)。
古墳時代前期後半の4世紀前半の築造。
●男狭穂塚古墳(おさほづかこふん)(宮崎県西都市)
西都原古墳群に属する。
墳丘長は176m、円丘部は三段築成、前方部(方壇部)は二段築成
5世紀前半(古墳時代中期)頃の築造
●乙女山古墳(おとめやまこふん)(奈良県河合町)
馬見古墳群に属する。
全長約130m、後円部西側に長さ11m、幅約23mの造り出しが付設されている。
造り出し部の外側に礫を敷き円筒埴輪列、その外側に家形埴輪2、楕円形円筒埴輪2が認められ祭祀場として設けられた。
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次回は 第6回「柄鏡式古墳」
(担当 H)
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