『おくのほそ道』 第27回 山刀伐峠 | 奈良の鹿たち

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『おくのほそ道』 

第27回「山刀伐峠」

(なたぎりとうげ)

 

(「必ず危うき目にも遭うべき日なれ」の山刀伐峠

(堺田・山刀伐峠・尾花沢 元禄二年五月十七日)

 

<第27回 「山刀伐峠(なたぎりとうげ)」>(原文)

 

(芭蕉一行 山刀伐峠越え 蕪村筆「奥の細道図巻」)

 

(現代語)

この家の主の言うには、ここから出羽の国へは、大きな山を隔てて道が分かりにくいから、道案内を頼んで超える方がいいと言う。ではそうしようと、人を頼むことにしたところ、屈強な若者が反り脇差しを腰につけ、樫の杖を持って、我々の前を歩いて行く。今日こそは間違いなく危うい目にも遭うのであろうと、内心びくびくしながら後をついて行く。主の言った通り、高山は深々として、鳥の声一つしない。木の下は闇が茂っていて、まるで夜のように真っ暗だ。「雲端(うんたん)につちふる心地」(杜甫)のような強風も吹いて砂つぶてが空から降ってくる感じ。篠の藪を踏み分けふみわけ、沢をまたぎ、岩につまづき、肌に冷や汗を流しながら、ようように最上の庄に着く。

あの案内の若者は、「この道は、何時も不意の出来事が起こるのですが、今日は無事に送ることがでけて、運が良かった」と言って喜んで帰っていった。終わってから聞いてさえ、どきどきする話である。

 

(語句)

●「山刀伐(なたぎり)峠」:山形県の最上町と尾花沢市を結ぶ峠道で、「おくのほそ道」の難所

  の一つ。

●「究竟(くっきょう)」:「屈強(くっきょう)」で、力の強いこと。

●「反脇指(そりわきざし)」:刀身に反りの入った脇差し。

●「樫の杖を携て」:樫の杖は、歩行のための杖ではなくて、こん棒。

●「雲端につちふる」:杜甫「已(すで)に風磑(ふうとう)に入て、雲端(うんたん)に露(つちふ)

 る」雲の端から砂粒が落ちてくるような風の様を表現している。

●「篠の中踏分踏分、水をわたり岩に蹶て」:クマササの藪の中をあるき、川を渡り岩につまず

 いて、の意。

●「此みち必不用の事有。恙なうをくりまいらせて仕合したり」:この山中では必ず泥棒 や追

 剥等の襲撃があるのですが、今日は何も無くお送りできてとてもよかったと思います、の意。

   

(写真)

 

 

 

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次回は 第28回「尾花沢」

 

 

   (担当H)

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