『宇宙』 第3回 ビッグバン | 奈良の鹿たち

奈良の鹿たち

悠々自適のシニアたちです

『宇宙』 第3回

 「ビッグバン」

 (Big Bang)

 

 

<宇宙の誕生>

「宇宙の誕生は、小さな粒のようなところがビッグバンで爆発して、その後、宇宙は拡大して星や銀河が出来ました」という説明は、ひと昔前のものです。

 

   

現在では

「ビッグバンの前にインフレーションがあり、その前は無の状態だった」

「爆発して10の何十乗分の1秒後に素粒子が出来、100秒後に原子が出来た」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

しかし、「このような”インフレーション理論”は机上の理論であり、証拠の痕跡すらなく観察されてもいないので仮説に過ぎない。厳密にいえば、ビッグバンモデルはビッグバンそのものに関しては何も語っておらず、ビッグバンの後に起きたことだけを記述しているだけだ。」という学者もいる。

せめて、ダークエネルギーやダークマターが解明されれば・・・・・・・・・・・・

 

STEP 1. ビッグバンの「前」<”無”から宇宙は誕生した>

”無”のゆらぎ⇒トンネル⇒インフレーション⇒ビッグバン

 

”無”から宇宙は誕生した」という仮説は、ビレンキン博士やホーキング博士らが唱えたもので、彼らは一般相対性理論と量子論を合わせて考えることで、宇宙が”無”から生まれる可能性があることを示しました。”無”とは、物質も空間も時間さえない状態です。しかし、物理学では「”無”=真空とは、全く何もないということではなく、わずかな真空エネルギーのゆらぎが誕生と消滅を繰り返している状態」ということになります。すなわち、宇宙創成の”無”のゆらぎとは、未知のエネルギーが、無と有の両方の世界を同時にある確率をもって存在している状態を指し量子論の確率的存在になります。そして、その状態から量子学的「トンネル効果」で突然パッと宇宙が生まれたと考えられています。

 

ビレンキン博士

「われわれの宇宙は、宇宙の卵がトンネル効果を使って山を抜け、はかない運命の宇宙から急膨張する宇宙に転じて生じたものだ」

~虚数時間の無境界で”ゆらぎ”が発生し、トンネル効果により宇宙が生まれた~

 (ホーキング博士「無境界説」 ビレンキン博士「無からの宇宙創生」より)

 

 STEP 2. ビッグバンの「前」インフレーションcosmic inflation

”インフレーション理論”を提唱した東京大学の佐藤勝彦氏によると、宇宙は誕生直後の10-44秒までは極小のプランク時間と言われ、無のゆらぎは終わりました。この頃の宇宙の大きさは10-33cmと言われています。10-44 秒から10-36  秒の間に重力が誕生しました。10-36 秒後から10-32 秒後までの間を「インフレーション時代」といわれ、光を超えるスピードで1030 倍以上に広がる猛烈な加速膨張を起こしました。インフレーションの前の宇宙の大きさは10-33 cmだから究極の物質と言われる素粒子よりもはるかに小さかったのです。それがインフレーションの直後には1cm になっていました。これはシャンパンの泡1粒が、光よりも速く一瞬のうちに太陽系以上の大きさになるという出来事です。そして、このインフレーションとともに、宇宙には時間が流れ空間が広がり始めたのです。

膨張で温度が下がり始めることによって大量の素粒子が生まれました。まだ電子と原子が分離したプラズマ状態でした。

インフレーションの加速膨張によって宇宙は極限まで冷え込んだとみられます。

しかしこれは、エネルギーの素を抱え込んだ状態(潜熱)で、インフレ―ションが終わると膨大な未知の真空のエネルギーが熱エネルギーに変換(相転移)され、宇宙は超高温状態になりました。

これがビッグバンです。

 

 

STEP 3. ビッグバンの”直後の3分間”

インフレーション時代が終わり、ビッグバン直後の約3分間。それは,すべての物質の素が生み出された時間でもありました。

ビッグバン直後の超高温の中では、素粒子はすべて光速で飛んでいたが、膨張で宇宙が冷えてくると真空の性質が変わり(相転移)、その中に満ちていたヒッグス粒子という素粒子が、他の素粒子に抵抗を及ぼすようになり、素粒子質量が生じました。

(素粒子)

(ヒッグス粒子)

 

(4つの力:重力・強い力・弱い力・電磁気力)

10-38  ⇒10-11 秒後の間で温度が1029  ⇒1015 ℃にまで下がった頃、4つの基本相互作用が分離しました。

すなわち、元々は一つに統一されていた力が、現在知られている大統一理論の4つの力(重力、強い力、弱い力、電磁気力)に分かれたのです。

 

 

(反物質)

そして10-33 秒後、インフレーション膨張は終了しました。

また、ここまでの過程で物質反物質のつりあいに小さなズレが生じました。

元々は、物質と反物質は同等に存在したはずですが、CP対称性の破れ(反物質の寿命がわずかに短かった)により、ほんのわずか物質の方が反物質より多くなり、結局現在の宇宙を物質の世界へと導いたのです。

 

10-6 秒後、素粒子のクォークが集まって陽子と中性子が結合して水素原子核がつくられます。

また10秒後には、陽子と中性子が対消滅してが誕生します。

100秒後、温度109 ℃(10億℃)になると、重水素Dが分解されないで残ることができるようになるので、それを種とした核融合反応が進み始め、ヘリウム、リチウムLi、ベリリウムBeと言った軽い原子核がつぎつぎと合成されました。このとき生まれた原子核は、質量では水素75%、ヘリウム25%でしたが、原子の総数では92%が水素、残り8%がヘリウムでした。

宇宙が膨張によって温度を下げ、膨張速度も緩やかになると、これらの物質は重力によってだんだん凝縮を始めました。そして最初の星”ファーストスター”が誕生したのです。

 

(元素 誕生)

 

STEP 4. ビッグバンの残照~宇宙マイクロ波背景放射(CMB)~

第2回目の『宇宙をつくっているもの』では、宇宙の構成要素の比が宇宙背景放射によって判明したことを記載しましたが、ここでは「むら(ゆらぎ)」について述べたいと思います。

1964年に宇宙背景放射が偶然に雑音として発見されました。

それからの研究で、宇宙背景放射は、ビッグバン発生の約38万年後に宇宙の温度が下がって光が直進できるようになった時代の残照であると認識されるようになりました。 

その後、米国航空宇宙局(NASA)のCOBE衛星(1989~1996年)、WMAP衛星(2001~2010年)や欧州宇宙機関のプランク衛星(2009年~2013年)の観測で、CMBはより精密なデータをもたらし、背景放射は極めて一様だが10万分の1程度の温度の「むら(ゆらぎ)」があることが分かりました。宇宙が膨張するに従ってCMBの光子は赤方偏移を受け、宇宙のスケール長に比例して波長が延びマイクロ波となり放射は冷えてきました。当時の宇宙の温度は約3000K(ケルビン 1K =-272.15℃)でしたが、宇宙の膨張によって冷え、現在は1/1100の2.7K(=-270℃)になりました。

ビッグバンという状態があったという重要な証拠であり「ビッグバン宇宙論」が確立しました。

 

 

====================

次回は 第4回「星や銀河の誕生と終焉」

 

 

(担当 P)

====================