『生物の変遷と進化』第26回 恐竜全盛時代、胎生哺乳類の出現 | 奈良の鹿たち

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『生物の変遷と進化』第26回

<1億4500万年前~6600万年前>

(白亜紀)

「恐竜全盛時代、胎生哺乳類の出現」

 

羽毛ティラノサウルス

(恐竜)

 

 

<白亜紀>

「白亜」はチョーク(細粒な石灰岩)を意味していて、白亜紀に堆積したチョーク層が広く見られることから名付けられました。

白亜紀の終わりにかけて、パンゲア大陸は完全に分裂し、現在の大陸とほぼ同じ位置になりました。白亜紀は、長期にわたり温暖で湿潤な気候が続いていました。

白亜紀は前期、後期の2つの世に区分されます。

前期においては、一時的な寒冷化が見られるものの、海水温は低緯度地域で32 ℃、中緯度地域で26 ℃と現在より高い海水温で安定していました。それによって海水面も高かった時代でした。

末期には気候帯が現われ、植物相にも変化が見られました。

パンゲア大陸の分裂が一層進み、これによって地理的な隔離が起きたため多種多様な進化を遂げました。ジュラ紀から長期にわたって陸・海・空あらゆる場所で恐竜・翼竜・海竜が繁栄し、ティラノサウルス・モササウルスなどの恐竜たちが出現しました。(下図)

恐竜の繁栄

白亜紀の終わりを示すK-Pg境界において、イリジウムが大量に含まれた粘土層が世界中で見つかっています。これは、6568万年前にユカタン半島にある巨大なチクシュルーブ・クレーターをつくった隕石の衝突(下図)によって地上に降り積もったものと考えられています。この隕石の落下が引き起こした気候変動が、白亜紀末の大量絶滅を起こしたという説は、現在ではほぼ確定しています。

隕石衝突

 

恐竜

白亜紀前期まではジュラ紀で栄えた恐竜は依然健在でしたが、後期においては、その多くが姿を消しました(アロサウルス、ディプロドクス、ステゴサウルスなど)。代わってジュラ紀にはあまり目立たなかった系統の恐竜が進化を遂げました。しかし白亜紀末期のK-Pg境界で他の多くの生物と共に恐竜は衰退し、最終的に現生鳥類を除いて絶滅しました。

近年、恐竜には体温調節や鳥類との関連で、羽毛(下図)が生えていたという証拠化石が各地で発掘され、ほぼ定説となりつつあります。

1996年に中国で、シノサウロプテリクス(下図)と名付けられた世界で最初の羽毛恐竜の化石が発見されました。シノサウロプテリクスは、中生代白亜紀前期の1億4500万年前に生息していました。始祖鳥より1000万年以上も後になります。羽毛があることから鳥類であると当初考えられましたが、その羽毛は飛ぶためのものではありませんでした。この発見で羽毛の元々の役割は飛行ではないことがわかりました。ノコギリ状の歯を持ち小動物や昆虫などを捕食していた肉食恐竜であった可能性が高いとされています。特徴は鳥に似た顔で前肢が非常に小さく後肢が非常に発達していました。背丈は約1.2~1.4mほどの高さ、体重は約12.5㎏程度でした。その羽毛から色素が見つかり尾は褐色と白の縞模様でした。これらは鳥に近い特徴を持っていました。頚部の後ろから背中、尾にかけては赤褐色ないしは橙色に近い色彩で、尾は茶色と白の縞模様でした。また作りが軽く、長い尾と長い手足を持つため樹上での生活に適応していたと考えられています。

 

鳥類

この時代にジュラ紀に恐竜から分岐した鳥類では真鳥類が出現しています。しかし、大勢を占めていたのは、古鳥類で、孔子鳥、エナンティオルニス類などが繁栄しました。海鳥では、真鳥類のヘスペロルニス、イクチオルニスなどが栄えました。しかし、白亜紀に全盛を迎えたこれらの鳥類の集団は、末期にほとんどが絶滅しました。この時期に現生鳥類の直系の祖先も出現している。多くは、白亜紀後期には分化していたようです。

 

1億2900万年前には現在の鳥にもある小翼を持つエナンティオルニス(下図)があらわれました。

エナンティオルニス類は始祖鳥や孔子鳥よりは進歩的でしたが、現生の鳥類(真鳥類)よりは、はるかに原始的な特徴を残していました。このことから、彼らは鳥類の進化において過渡的な存在であるとされています。

1億2000万年前には、進化したミクロラプトル(下図)があらわれました。前期白亜紀のアジアに生息した獣脚類の恐竜です。主に樹上棲の動物であり、四肢の鋭利な鉤爪は枝や幹に留まる際に役立ったと推察されています。全長が0.7mほどの小型羽毛恐竜であり、四肢に風切羽状の羽毛が生えていました。

8600万年前には現在の鳥のように尾が短くなり、竜骨突起とよばれる飛ぶための骨格が出来たイクチオルニス(下図)があらわれました。イクチオルニスは現在のアジサシのような生態の水鳥でした。体長は20cmほどで真鳥類のグループに含まれますが、白亜紀末期に絶滅しました。

第5回大量絶滅の直前の6700万年前の現生鳥類のグループとしては最古の化石が発見されました。名前はアステリオルニス(下図)といい、なんと大量絶滅を生き抜きました。

 

翼竜

翼竜類は白亜紀前期に多様化のピークを迎えましたが、白亜紀後期には中・小型の翼竜類が衰え、プテラノドンやケツァルコアトルスなど大型種だけが残りました。

ケツァルコアトルス(下図)は、6800万年前から6600万年前にかけての200万年間、海進時代の北アメリカ大陸に生息していた史上最大の翼竜です。翼開長(翼を全開した状態での左右の翼先端間の距離)が5~6mと推定され、最大のものは12mにも及びました。

 

哺乳類

現代の霊長類の祖先の原始哺乳類もこの頃出現しました。

哺乳類は卵ではなく胎生で直接子供を産む種が誕生しました。胎生哺乳類(下図)といわれます。胎盤は胎児と直接つながっているため、酸素や栄養をより多く・確実に送ることができるようになりました。さらに少数出産で生存の確実性を高め、情緒的親子愛をはぐくむ大進化をしました。

 

海の生き物

パンゲア大陸の分裂が進む中、各地で活発な火山活動が起こりました。
1億2000万年前に南太平洋で大規模な海底火山噴火が発生しました。(その2000〜4000万年後には更に二次的な噴火が起きました)。更にカリブ海、インド洋などでも大規模な火山活動が度々発生し、これらの火山噴火に前後して海洋無酸素事変も発生しました。白亜紀後期序盤に魚竜、海生ワニ類、大型の首長竜のプリオサウルス類が絶滅したのは、この影響ともされています。
7900万~6500万年前の後期白亜紀には、生態的支配的地位を占めたモササウルス類、エラスモサウルス類をはじめとする首長竜などが繁栄しました。後期白亜紀の海の頂点捕食者はモササウルス(下図)でした。
四肢はサメのような三日月のヒレで太くて幅広い尾があったことから、泳力に優れていたと考えられています。大きな顎には後方に向かって湾曲した歯が2列に生えており、1度噛みつかれた獲物は逃げることができません。また歯の先端部分は丸みを帯びており獲物の肉を切り裂くだけでなく、アンモナイトなどの固い殻を持った生物をも噛み砕き、そのまま飲み込んでいたことがわかっています。
映画『ジュラシックワールド』では、モササウルスがティラノサウルスを海に引きずり込む痛快なシーンがありました。

一方モササウルスの餌食となったアンモナイトは、この頃巨大化します。パラプゾシア(下図)というアンモナイトの種族は、直径が60cm~3mと人間よりも大きな殻をもっていました。何故巨大化したのか不明ですが、モササウルスの口に入らないようにするためという淘汰圧による説もあります。しかしまたしばらくするとパラプゾシアはモササウルスの巨大化とは関係なく、サイズが縮小し始めたのです。

後期白亜紀には異常巻きで有名な種目のアンキロセラス(下図)が繁栄を見せました。

アンキロセラス

モササウルスもアンモナイトも、5回目の大量絶滅で絶滅しました。

 

ジュラ紀中期に誕生した浮遊性有孔虫、及びココリスなどの石灰質の「ナンノプランクトン

(下図)は、この時期に生息域を大きく拡大させました。その遺骸はとてつもなく長い時間をかけて、ゆっくりと大量に海底に降り積もり白い地層となりました。この石灰岩層が白亜紀の名称の由来となります。

ナノプランクトン

 

植物

植物は主流であった裸子植物やシダなどが減少し、花や果実や柔らかい葉をつける栄養価の高い被子植物(下図) が主流(80%)となって繁栄を遂げました。被子植物の進化は昆虫類の繁殖・進化を誘発し、植物食恐竜を巨大化し、肉食恐竜はその植物食恐竜を糧としました。さらに被子植物の花果やそれに寄ってくる昆虫を好んだのは、われわれの祖先の霊長類でした。

白亜紀は被子植物の進化を起点として動植物の共進化現象が見られた貴重な時期でした。

スギ(下図)などの針葉樹は現代と同じ形にまで進化しました。

スギ

 

 

 

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次回は 第27回「白亜紀の大陸配置図」

 

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(担当B)