先日、とある席で、美術史の大御所の先生とビール🍺を飲みました(←ちょっと表現が雑ですが、新年会のお席での話です)
「昼間から呑む罪悪感が酒の味を旨くする」
と仰る大先生のことばに酔いそうになりつつも、
ふだんはコワモテでちょっと近寄り難い先生がご機嫌でいらっしゃるのは嬉しいことです
そこで、よく子どもが「好きな食べ物は?」なんて聞くような感じで、先生にこんな質問をしてみちゃいました(普段ならできない)
「先生のお好きな仏像は何ですか?」
ちなみに、その大御所先生は、
ザ・奈良時代lover
で、
「鎌倉彫刻なんてちっとも良くない」
などと仰る方です
私も「白鳳天平彫刻>>>鎌倉彫刻派」ですから、異論はございませんが…
その大御所先生は、奈良時代loverなゆえ、
「不比等は日本で初めて公私混同をした腹黒いヤツだ」
などと、不比等がまるでそこらにいる知り合いのように仰り、
私も不比等にナマの人間性を感じて、どこかで会ったような気がしてしまうことがあります
またある時は
「天平彫刻のリアリズムの素晴らしさに比べたら、近代の民芸運動なんてあんなもんガ◯クタだ」
などとひどいことを仰り、私も長年のモヤモヤがすっきりするような気がしなくもないと同時に、そんなこと仰って関係者の耳に入ったらどうするのだ?と聞いているこちらがハラハラしたりします…
で、おビールの勢いで、「お好きな仏像は?」なんて聞いてしまってから、その質問の子どもっぽさに自分自身ハラハラしましたが、
大先生はご機嫌よくお答えくださいました
それでは、奈良美術を専門にされる、美術史界の大御所先生の仏像トップ3を
ご紹介します
ダダダダダダダダ…(ドラム音)
ドキッドキッドキッドキッ(高血圧の心拍音)
発表!
第一位!
薬師寺薬師三尊像❗️
ハエある、好きな仏像第一位に輝いたのは、
薬師寺薬師三尊像でした
この、白鳳だか天平だか(←まだ論争中)を代表する金銅仏の美しさは、大御所先生の心をも打つのですねー
異論はございません!
素晴らしいです
次、いきます!
第二位を発表します
第二位は…
東大寺三月堂不空羂索観音像❗️
町田甲一さんも絶賛していた
東大寺不空羂索観音像が二位です
おビール🍺の席でしたが、賛同する方もおられ、
高い人気があることがわかります
こちらは、天平の乾漆像です
私の好みとはちと違うのですが、この場をお借りして、三月堂様には一言お願いしたいことがあります
「日光月光、カムバーック!」
そして、第三位です!
第三位…なのですが、
ザ・奈良時代lover
の先生の選択にしては、ちょっと意外な選択でした!
第三位は〜〜〜
な、な、なんと!
平等院鳳凰堂阿弥陀如来像❗️
( ・∇・)?
どうしてどうして先生は宇治の平等院を選んだんだろう?(ユーミンの「リフレインが叫んでる」のメロディで)
もしかして、私がふだん「平等院平等院」とうるさく言うから(私は平安後期が研究対象ですから)、私に「忖度」してくださったのだろうか??
もしそうだとしたら、申し訳ない気もしますが、
何しろ、奈良時代loverの先生のまわりに集まる方々も当然奈良時代loverなので、
この平等院阿弥陀如来像には、異論反論オブジェクション!盛り上がりました(なんてこった)
ちなみに、平等院阿弥陀如来像について大御所先生は、「無存在の存在」であると仰り、
平安後期藤原時代を「反省の時代」と仰います
ここから、私の感想ですが、
多くの皇族や貴族階級が極楽へ往生するために、「観想」する際のモデルとなったのがこの定朝様の阿弥陀如来像だったわけですから、
そこに極端な表現は不必要なわけで、
そういう意味では存在しないと思わせるほど自然な表現をとることが「無存在の存在」だったと言わせる所以なのかもしれませんね(ちょっと何言ってるんだか分からなくなってきたぞ)
というわけで、奈良美術の大御所先生の
「仏像ベスト3」をご紹介しました
蛇足ですが
私も「自分が好きな仏像ベスト3」を上げてみようと思います
令和二年正月現在のベスト3です
何しろ乙女?心は変わる可能性あるからね
第一位 法隆寺橘夫人念持仏
第二位 中宮寺半跏思惟像
若い頃に読んだ亀井勝一郎『大和古寺風物誌』の中宮寺半跏思惟像についての記述から受けた強烈な感動からまだ抜け出せないようです
優しさに満ちた表情は、何十回何百回観ても飽きることがありません
第三位 薬師寺東院堂聖観音像
4位、5位…と考えても、思いつくのはみんな白鳳天平仏ばかりだわ〜
…って、私こそ奈良時代loverじゃないかい!
皆さまの、仏像ベスト3はどうですか?
たまにこんなことを考えるのも、面白いですよね〜