連年贈与のリスク?? | 奈良の相続、弁護士、税理士、行政書士、会計士、保険コンサルタント、遺言、相続税・贈与税、のことは【相続のことnara】におまかせ。

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相続税対策として、お孫さんなどへ生前贈与を毎年続ける方も多いかと思います(連年贈与)。
この連年贈与に関して、税務署からの贈与税課税を心配される方がいます。

国税庁のHPに、下記のようなタックスアンサーがあります。

https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4402_qa.htm

(以下、抜粋)
Q 親から毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受ける場合には、各年の受贈額が110万円の基礎控除額以下ですので、贈与税がかからないことになりますか。

A 各年の受贈額が110万円の基礎控除額以下である場合には、贈与税がかかりませんので申告は必要ありません。
ただし、10年間にわたって毎年100万円ずつ贈与を受けることが、贈与者との間で約束されている場合には、1年ごとに贈与を受けると考えるのではなく、約束をした年に、定期金に関する権利(10年間にわたり毎年100万円ずつの給付を受ける権利)の贈与を受けたものとして贈与税がかかりますので申告が必要です。
(抜粋終わり)

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この、ただし書き以下が問題なのですが、要は「総額1,000万円の贈与を10年間で分割して贈与する」と見られる場合は、1,000万円に対する贈与税を課税する、というのが国税庁の見解です。

しかし、ここから税理士が誤った指導をする場合があります。
例えば「毎年の贈与額は一定ではなく、変動させた方がいい」、「毎年の贈与時期も変動させた方がいい」、あるいは「贈与税の申告を毎年しておけば大丈夫」等々ですが、いずれも的外れです。

過去の記事「贈与にまつわる誤解」でも触れましたが、連年贈与であっても、個々の(毎年の)贈与が有効に成立していれば問題はありません。

そのために最も重要なことは、贈与契約書を毎年作成することです。
毎年同じ額でも同じ時期でも全く問題ありません。

また他にも、

○贈与はできるだけ振込で行い、通帳に履歴を残すこと
○現金等をもらった側が通帳や印鑑を管理すること


などによって、個々の贈与が形式的なものではなく有効に成立している事実を説明できるようにしておくことです。

私が相談を受ける事例でも、不動産の贈与を何年か均等に分けて行いたいが、連年贈与を否認されないか心配される方がいらっしゃいます。

しかし上記の通り、個々の贈与が成立するためのポイントを外さなければ、何も心配することはないのです。


池田歩公認会計士事務所(所属:㈱奈良税経センター) 

池田歩(公認会計士・税理士)