今日は予告通り、美術史のお話です。

西洋美術史の中でも、私はとりわけ建築が好きなのですが、
今回は中世の10~12世紀頃に流行したスタイルを紹介します。

ロマネスク様式という中世後期に流行ったものは
古きよきローマ時代を再現したスタイルで、
シンプルなものが多く、石積み天井の技術が戻ってきたため、
簡素ながらも、荘厳な雰囲気を持ち合わせています。

日本の空間美をご存知の方なら、
この様式が気にいってくれるのではないかと思います。

ナポリは丁度アラブ様式の好きなノルマン人支配時代、
その上、ノルマン人はもともとあった建築物を壊して
作り直しをする民族だったので、
ロマネスク様式の建物は極めて少ないのです。

時代で美術史を辿ると、アラブ・ノルマン様式として
ロマネスク様式の一派と捕らえる傾向もありますが、
ここでは、スタンダードなものを少し紹介しますね。

 
Via Tribunaliにある鐘楼。

窓のアーチ部分やとんがり屋根の様子がロマネスクといえます。
レンガを積み上げているところも、
ナポリでは少々異質な感じを覚えます。

 
 近づいてみると、土台には沢山の残骸を積み上げた様子。
この残骸、ゲルマン民族であるロンゴバルド族が
インスタントで仕上げる建築物によく使う手段で、
あるものを再利用して新しい建造物を作り上げます。

ロンゴバルド族はナポリを支配できなかったので、
ビザンチン帝国下にあった公爵領時代に
壊れかけた鐘楼の補修としてあてがったものではないかと思います。

もう一つは・・・

  
サン・ロレンツツォ教会です。

こちらの正面はずっとあとのバロック様式となりますが、
中は簡素で3廊式、柱の間隔を短く取り天井を高くした
ゴシック様式をしています。

 
写真撮影禁止なので、外からの撮影ですみません。

壁一面に装飾がされているほかの教会と違って、
簡素な様子が見られるかしら?

ゴシック様式はゲルマン民族ゴート人テイストという意味で
主に11世紀ごろから、ドイツやフランスで流行しました。
柱の間隔で天井の高さを決めるという
建築の物理的システムが発達したのが良く分かります。

こういった様式の建築物は、ノルマン人のあとに
フランスから来た貴族アンジュー家により
奨励されたため、13世紀のナポリのこういったスタイルの建築物で
埋め尽くされていたのではないかと思います。

のちのち・・・支配者が何度も変わり、
そのたびに新しい権力者に合わせた街づくりで
現在のナポリが形成されているため、
歴史的中心街を歩くと、色々な様式がミックスされた建物や
通り一本で美術史を見ることのできる
とっても貴重な街なんですが、ローマやフィレンツェのような統一性がなく、
なんだかカオスな街にも見えます。

 同じスタイルの様式としては、他にも修道院が一つ、
教会が一つと、ナポリでは貴重な歴史的遺産となっています。