ピアノ曲の難易度 その2 | 初老精神科医なおざう

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教員をやめ、中年で再受験して、今や初老精神科医。仕事はぼちぼち。ピアノのおけいこ、読書、お酒、その他の日常を記して行きたいと思います。

前回、紹介したピアノ曲の難易度評価4つを利用しながら、ピアノ曲の難易度について、さらに検討する。筆者が練習した経験がある曲か、この先に挑戦する可能性がある曲だけですが。

 

難易度評価は以下の通り

 

①新訂 ピアノの学習 長岡敏夫 音楽之友社 1972年

(初級1‐上級5まで15段階)

②あるピアニストの一生

(1-28まで)

③ピアノレッスンのヒント

★1つ‐★6つまで、0.1単位で評価

④ヘンレ出版社の難易度表

(1-9まで)

 

まず、バッハから。

 

・インベンション(2声)

①では、各曲の細かい評価はなく、中1‐中2となっている。

②では、13‐16 (難易度13は1,4、難易度14は3,8,10,15、難易度15は6,7,9,13,14、難易度16は2,5,11,12)

③では★1.7‐2.3

最も平易なのは、3,4。難しいのは13。

④では、3(初級の上)-4(中級の下)

難易度3とされているのは、1,4,6、その他は難易度4

 

インベンションが中級前半程度の曲であることは、一致しているが、③、④では易しい曲は初級上と考え、②では難しい曲は中級中程度と考えている。指の回りだけで考えると、初級上と考えて良いのかもしれないが、各声部を独立させ、主旋律と対位旋律の強弱を考えて弾くとなると、中級の曲といえるだろう。個人的には、5,12,13は結構難しいと思う。ヘンレ出版社は6を初級上としているが、そんなに易しいとは思えない。

 

・シンフォニア(3声)

①では、各曲の細かい評価はやはりなく、中4‐中5となっている。

ちなみに、練習の順序の記載がある。順序が早いほうから記載する。

11,4,6,7,1,13,10,8,3,15,12,14,2,5,9

 

②では、17‐20(難易度17は1,5,6,11,15、難易度18は8,10,13,14、難易度19は2,3,4,7,12、難易度20は9)

③では★3.0‐3.7

最も平易なのは15、難しいのは2,7

④では、4(中級の下)‐5(中級の中)

難易度4とされているのは1,11、その他は難易度5

 

ヘンレ出版社の難易度を除けば、シンフォニアが中級後半の難易度であるという評価である。①、③ではインベンションとは難易度にギャップがある。確かに、3声を弾くのには、右手・左手の独立の他、各指の独立が求められるため、そういう評価には根拠がある。

ただ、シンフォニアでも、5,6,15などは比較的弾きやすいので、インベンションの難しい曲と、シンフォニアの平易な曲との間には、そこまでのギャップはないようにも感じる。

 

ヘンレ出版社の難易度は全く納得できない。インベンションとシンフォニアの曲の難易度が同じとは思えない。バッハの難易度に対する評価は甘めなのか。モーツアルトのピアノソナタKV545が難易度5、KV330が難易度6となっていることと比較すると、バランスを欠いているように思う。

 

バッハについては、フランス組曲や平均律につていも書きたいのだが、長くなってきたので、続きはまたにする。