写真は先日訪れた東京駅丸の内南口の天井部分。
この天井は10年くらい前の復原工事で
蘇ったものです。老舗の高級ホテルの天井みたいですね。
自分にとってオーケストラ活動の区切りとなる演奏会まで、あと3か月。
曲はサン=サーンスの「オルガン付き」とR.シュトラウスの「家庭交響曲」なのですが、どちらも区切りに相応しい曲だと思います。
「オルガン付き」はクラシックの歴史の中で最も輝かしい時代であるロマン派の集大成ともいえる曲で、フランスの大作曲家であるサン=サーンス自身が「この曲には私が注ぎ込める全てを注ぎ込んだ」と語った傑作です。
コンサートホールで聴くオーケストラとパイプオルガンの壮大な響きが素晴らしい!
一方で「家庭交響曲」は技術的な面で、区切りに相応しい曲だと感じています。
今回は、その家庭交響曲の技術的な難所をちょっとだけ見ていきましょう。
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まずこの練習番号73の2小節目の2つ目の音が「F#」なんですが、ヴァイオリンの音域の最低音はこの半音上の「G」ですので、事実上これは弾けない音なんです
いきなり難易度高いですね(笑)
というか、これは無理ー
超うまい奏者の中にはボウイングを巧みに使ってヴァイオリンの音域を下げて弾く特殊な奏法を身に着けている方もいるので、100%無理というわけではないようですが、まあ普通のオケではこの音は弾きませんね
でも、こういった音域以下の音はこれまでにもオケの譜面でたまに見かけたことがあります。
「オイッ」って思いつつオクターブ上げて弾くこともありますが・・・
先日、仲間の団員に聞いたら「ここ、無理だから弾いてません」とのこと。
ですよねー。
3段目はハイポジションのシ#ラララ ×5回のあとにレ#で締める場面。
ここに書いてある「8」は、「オッターヴァ(8va)」のことで、「1オクターブ上げて弾け!」って意味です。
ヴァイオリンの譜面では結構見かけます。アマチュア奏者にとってはすごく嫌な記号です(笑)
それにしても、音、高!
いや~、あたいもここまではなんとか弾けるようになりましたよ。
以前のブログ「2つの構え」の時はこの最高音までスムーズにポジション移動できなかったんですけどね。それから5年、練習してたらいつの間にか届くようになりました
練習番号75の部分はGdurの2オクターブ上がり。これはかつてA先生から「家ではGdurのG線解放から3オクターブの上がり下がりを練習してみて」と言われたことがあって、スケールの練習嫌いな自分もそれはよく覚えていたので、ちょくちょくGdur3オクターブの練習はしていました。それがまさにこの部分で活きている。
練習番号76はsulGといってG線だけで弾くのですが、G線の7ポジは腕が窮屈になって押さえにくい場所なんです。以前はスムーズにいかない場所だったのが、今は届いている。
このように、この家庭交響曲を練習していると随所で自分の上達を感じることができますし、これまでの技術的な積み重ねがあちこちで花開く集大成的な曲であることがわかります。
それにしても、
この3段はちょっときつすぎません?(笑)
大人からヴァイオリンを弾きはじめた人にとっては、この部分は笑うしかない。
まず1段目でいきなり5ポジから始まりますので、この音が取りにくくて「グー」と唸る。
と思っていたら、2段目からはポジション移動の嵐。
そして、3段目・・・ こ、これは・・・
ちょっとそこのあなた!一度弾いてみて!w
わたくしもここはそれっぽく弾くのが精いっぱいでっせ。
ヴァイオリンの世界では、「1弦飛ばしは極力やらない」というセオリーがあります。できる限りお隣りの弦で弾く。
1つの弦を飛ばして弾こうとすれば、弓が空中に浮いて弦から離れるので音が必ず切れてしまうからです。
でも、この3段目は「#ドッファミ レッソファ ♭ミッラソ ミッラソ ファッラソ」 これをA線とE線で弾くべきなのか・・・
ポジション移動が激しすぎません?
あっしは「1弦飛ばし」でA線を飛ばしてD線とE線の往復でやっておりやす。
まあここはスラーがついていないのでほんの一瞬音が切れても許されますから。セオリーとしてもぎりぎりセーフ。
しかし、次のこれはどうだ
ぐお~
2小節目の下のドと上のドはスラーで繋がれている。つまり音を切ったらあかんので、ここは「D線を飛ばしてG線とA線の1stポジションで弾く」というズルはできないので、G線を人差し指、D線を小指のオクターブで取る。まあこれはよい。
3小節目はどうすんねん!!(笑)
いや、これもG線の3ポジのドから瞬間ポジション移動でD線の6ポジのファを押さえて、次のド(D線)→ラ(A線)→ファ(A線)・・・っていけば最終的にファ#のE線まで「弦飛ばし無し」でいけますよ。スラーがついているからそれが唯一の正しい弾き方なのでしょう。
でも自分にはコレ無理ですって・・・
集大成とはいえ最初のG線ドの次のファはD線飛び越えてA線で弾きたいですって!
ということで、この部分はこの曲で唯一「ズル技の集大成」になってしまいますが「スラーなのにD線飛ばし」を使わせていただきます。
いかに音が切れないように一瞬でD線を飛ばすか、なおっちの技にご期待あれ・・・!
今回はやけに専門的な奏法の記事で、ヴァイオリンを触ったことのない方には何が何だかわからない内容になってしまいました
でも大人からヴァイオリンを始めた方ならこの気持ち、わかると思います(笑)