ヨガ哲学の世界観について、引き続き。
前回まで宇宙が周期的に生まれては消滅するという話をしてきましたが、今回は宇宙の誕生について考えてみたいと思います。
宇宙の誕生といえば、科学の世界ではビッグバン説が有力ですよね。宇宙はある一点から爆発して、現在でも膨張し続けていると考えています。これは地球から観測される銀河系がだんだんと遠ざかっているという天文学的な根拠によるものですが、それを逆算して宇宙はある一点から発生したという説です。
スピリチュアル系で最近よく言われるワンネスもこの理論で説明されることがありますね。
ワンネスとは、
「全ては一つから生まれた」
という世界観。
そこから、
「全ては繋がっている」
「過去も未来もない、今ここ」
という考え方ですね。
ワンネスは一者(いっしゃ)、神とも表現されています。
ヨガのインストラクターさんでもわりとワンネス的な世界観を持っている方が多く、
「みんなつながっている」
「今ここで幸せを感じる」
こんな意見をよく聞きますね。
ヨガには、確かに「結びつける」という意味があるので、「つながり」「結びつき」と解釈されやすいのですが、
ヨガ哲学の観点からは、それとは少し違った考え方をします。
まず、ヨガ哲学の理論はサーンキヤ学派によります。
サーンキヤ学派は以前ご紹介しましたが、プルシャ(純粋意識)とプラクリティ(根源物質)の二元論です。
つまり、全ては一つではなく、精神は精神、物質は物質と分けて考えるんですね。
精神は一つの原理として永遠に存在し、物質も一つの原理として存在する。
そして、精神原理が物質原理に影響を与えて万物が展開していくという考え方。
少し解りずらいので図で比較してみましょう。
ワンネス理論だとこんな感じですかね。
ワンネスあるいは神と呼ばれる一つの原理から、世界や個人が分離して展開していると考えます。ですので、ワンネスを信じている人たちは、
「分離感をなくそう」
「私たちはもともと一つだ」
と言います。
一方ヨガ哲学では、
プルシャとプラクリティの結合によって世界が展開したので、本来ブラフマンである私たちは、この世界でプラクリティの原理(トリグナ)に束縛されていると考えます。
ですので、
「ブラフマンであるあなたと、そうでないものを識別して切り離しなさい」
とヨギは言います。
プルシャとプラクリティは永遠に存在する二つの原理ですが、そこに一元論的なものを持ち込むとすれば、プルシャとプラクリティが展開する場を一者、パラブラフマンと考えることができます。
とまあ、いろんな考え方が混在していて難しいですね…
結びつけるのか、
切り離すのか、
全く反対の事を言っているようで、同じ目的を示しているのかもしれません。
次回もこの違いについて考えてみたいと思います。
次の記事は 絶対者について
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