今回はラージャ・ヨーガの5段階目、プラティヤハーラ、感覚の制御について考えてみたいと思います。
 
 
 
プラティヤハーラ、感覚の制御とは、普段は外界に対して開かれている五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)を閉じること。
 
 
 
このままでは意味がよくわかりませんね。
 
 
 
具体的に考えてみましょう。
 
 
私たちが普段生活していて、欲望が起こるタイミングはどんな時でしょうか?
 
 
道を歩いています。カフェの看板を見たときに、パンケーキの写真が目にとまります。
 
それを見ると欲望が動き出します。
 
「クリームがたくさんのって、メイプルシロップがかかって、とても美味しそうだ。食べたいな」
 
写真を見たので、欲望が起こりました。
 
 
もう一つ、男性はこちらの方が分かりやすいかもしれません。
 
電車に乗っているとき、薄着の女性が自分の目の前のシートに座っています。
 
その女性を見たとき、性欲が起こります。
 
 
このように、外界にある何かを見ることで欲望が起こります。何も見なければ欲望は起こりません。
 
 
ですから、道を歩いているときでも、欲望の対象物を、
 
 
見ない
 
 
ことですね。
 
もちろん、何も見なければ目的地にたどり着くことはできません。ですから、目は開いておく必要があります。
しかし、私たちの欲望は自分を喜ばせる対象を探して、道を歩いているときでも人をチラチラ見たり、周りをキョロキョロ見回したりしています。このように、欲望によって視覚が動かないように気をつけることが大切ですね。
 
 
これは視覚についての例ですが、何か美味しそうな匂いを嗅いだり、誰かの体に触ったり、誰かの声を聞いたりしたときにも欲望は起こります。
 
こういったときも、欲望が出来るだけ起こらないように五感を欲望の対象から離しておきます。
 
 
このように、欲望が対象物を見つけないように五感を閉じておくこと、これがプラティヤハーラになります。
 
 
 
もう少し別の例を考えてみましょう。
 
 
 
最近ではフェイスブックなどのSNSが広く活用されています。他人の生活の様子、出来事、イベントなどの情報も共有されて便利になりました。
 
一方で、フェイスブックをよく見る人は幸福度が低いという研究もあるようです。
 
それはそうですよね。誰も自分をみじめにするような話題など恥ずかしくて投稿しませんから、フェイスブックで共有するのは皆ポジティブな話題や良い話ばかりです。ですから、ずーっと聞きたくもない他人の自慢話、成功話ばかり聞かされる訳です。それでうんざりしない方がおかしいでしょう。
 
「あいつはいつも彼女とデートしている写真を上げてるけど、俺には彼女がいない」
「友達はいつも子供の楽しそうな写真ばかり投稿している、でも私は結婚すらできていない」
「友達はブランド物を買った写真や海外旅行の写真ばかり投稿しているけど、私にはそれを買うお金も時間もない」
「みんなで楽しそうにパーティしている写真を投稿していたけど、私は誘われていない」
 
このように、フェイスブックを見るたびに思考が暴れまわります。
 
嫉妬したり、自分と比べてたり、寂しくなったり…
 
 
なぜでしょう?
 
 
フェイスブックを見たからですね。
 
 
見たので思考が動きます。友達の動向を知らなければ思考は起きませんでした。
 
ですから、思考止めるためにはフェイスブックを、
 
 
見ない
 
 
見たくなっても、
 
 
見ない
 
 
見なければ、思考は動きません。
 
 
「他人の動向を気にすることで、いったい何の利益があるのか。他人と比べても私が幸せになるわけではない。むしろ不幸になるではないか。そのことによって心の平安が失われるなら、その視覚は私には必要のないものだ」
 
 
このように考えて、視覚を閉じます。
(この場合、フェイスブックを解約するか、お知らせ機能の停止ですかね)
 
 
これもまたプラティヤハーラになります。
 
 
 
 
 

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