自分を知るというテーマで、心には欲望、思考、智慧(ちえ)の三つの要素があるというお話をしてきました。
今回は、智慧の性質の一つである愛について考えていきたいと思います。
心の三つの要素は、下のもの(欲望)より上のもの(智慧)の方がより精妙であると言われます。
精妙とは繊細というような意味ですが、「智慧が欲望より繊細?」と考えるとよく分かりませんね。
精妙と言われた場合、よりエネルギーが強いと考えることができます。
例えば、ヨガでは
体は粗大であり、心は精妙である
と言われます。
これはもちろん、体は目に見える、心は目に見えないという面もありますが、体を支配しているのが心である意味でもあります。
心がひどく動揺している時は、体にも不調が現れます。また、体が疲れたり傷ついたりしても、何かに強く集中していれば疲れや痛みを感じないことがあります。
さて、欲望、思考、愛(ここからは智慧とせずに愛に置き換えて考えます)、この三つについて考えた時、どれが一番エネルギーが強いと言えるのでしょうか?
欲望のエネルギー
あれが食べたい!これが欲しい!あの子と付き合いたい!という肉体的な欲望のために動く力
思考のエネルギー
あの人より優れてる、あの人には負けない、あの人より偉くなりたいという自己顕示欲のために働く力
愛のエネルギー
誰かのために働きたい、困っている人を救いたいという愛の力
どうでしょう?
これは個人差があるかもしれません。
「愛、と言いたいけど、まだまだ欲望のエネルギーが強いな」
とか、
「愛もちょっとはあるけど、基本的には思考のエネルギーかな」
とか。
まあ、いろいろですよね。
けれど、人が最も強い力を出せるのが愛なんですよね。
ちょっと考えてみましょう。
目の前にガレキの山があります。
そこに一人のお金持ちの紳士がやってきました。
その人がこう言います。
「ここに私の家を建てたいのだが、このガレキの山が邪魔なんだ。100万円あげるから、これを今すぐ片付けてくれないか?」
このとき欲望はこのように思います。
「なんて素晴らしい話だ!100万円もあれば好きなものが買えるな。終わったら温泉でゆっくりしてもいいし、美味しいものもたくさん食べよう。よし、3日で終わらせるぞ」
そして、一生懸命ガレキを片付け始めます。
次はこんな話です。
ガレキの山の前に世界中の力自慢が集まりました。そこでこのように言います。
「これは力持ちの世界一を決める競技だ!このガレキの山を最も早く片付けた者に、金のメダルとこの偉大な競技の歴史に名を残す名誉を与えよう」
そのとき思考はこう考えます。
「私が世界で最も力が強いということを、この機会に証明してやる。奴らが3日で片付けるなら、俺は2日で終わらせるぞ!」
そして、必死にガレキを片付け始めます。
そしてこれが最後のお話です。
ガレキの山の前で子供が泣いています。
「地震で家が倒れたんです!お母さんがまだ中で生き埋めになっています。助けてください!」
そのとき愛は、もはや何も言わずに、昼夜を問わず必死でガレキをどかし、その子の母親を助けます。
さて、この三人の中で最も早くガレキの山をどかすことができたのは誰でしょうか?
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