こんばんみー。今日は、人志松本のすべらない話です。
バイクが転ぶとは、どういうことでしょう?
1つめは、タイヤが滑ること。
2つめは、バイクが倒れること。
我々ライダーは、これらを総称して、「転倒」と呼んでいます。
2つめのバイクが倒れることは、簡単です。
立ちごけが典型でしょう。
重力のある世界では、基本的に、バイクは倒れます。
一方、動力がかかると、倒れません。
厳密には、倒れ力に起き力が勝っているから、倒れないといえますね。
なので、起き力が減退すれば、やはり倒れます。
回転でも、千鳥でも、何をするにも、車体を傾けた以上は、一定以上の動力がかかせません。
400㎏あるハーレーだって、エンジンをかければ、重さは感じないはずです。
そう考えると、重さは、「エンジンパワーによって減らせる」ともいえるかもしれません。
まるで、お風呂では自分の体が軽くなるように。
えーっと、今日の本題は、この話ではありません。
「すべらない」話です。
立ちごけ以外のたいていの転倒は、タイヤが滑ったからでしょう。
特にジムカーナなどは。
では、なぜ滑るのか。
傾けたから?
ならば、引き起こしをするときで考えてみましょう。
引き起こしをした際の最初の持ち上げのとき、車体はいわばフルバンク状態に近いわけです。
GPライダー顔負けのバンク角があります。
ところが、この状態にあるとき、タイヤは滑りません。
つまり、フルバンク=滑るという関係の式にならないことに気づきます。
では、ここに条件を加えてみましょう。
路面が氷だったら?
おそらく、滑りますよね。
つまり、これは、グリップしてないから、滑っているといえるわけです。
傾きそのものは、関係ありません。
さらに、グリップしていないからといって、それが直ちに滑るということには繋がりません。
氷の上で静止しているバイクは、滑らないですよね?
これは、グリップしていなくとも、外的な力が加わらない以上、物体は動き出さないからですね。
まとめると、①外的な力がかかったときに、②グリップしていないと、=滑るとなると考えられます。
これは、こう言い表せる気がします。
滑るとは、
『タイヤのグリップ(X)vsタイヤにかかった力(Y)=かかった力(Y)が勝っている状態』のこと。
「X>Y」
これを公式として、考えましょう。
っていうか、この話は以前しました。
それでは、滑らない方法を考えましょう。
あたかもカードゲームのように、
「グリップ側の防御力を強くするか、かかった力の攻撃力を減らすか」になると思います。
~グリップ(X)を強くする~
①よりハイグリップタイヤを履く
②より太いタイヤを履く
③よりいい路面で走る
④より荷重をかける
⑤より追従するサスをつける
などになるでしょうか。
次に……
~かかった力(Y)を減らす~
その前に、かかった力とは、2つに分けられると思います。
「慣性力(減速G)と遠心力(コーナリングG)」ですね。
今日は、主に前輪に対する話なので、エンジンパワーは加えません。
まず
・慣性力を減らす
①ブレーキを弱く使う
②速度を落とす
これはわかりやすいと思います。
ブレーキでロックしないためには、ブレーキを弱く使い、その分、手前から長くかけているハズです。
ちなみになんですが、ロックが発生するときは、量的要因と長さ的要因があると思っています。
「握りゴケ」は、使い過ぎという意味での量的要因。
それ以外でロックする場合は、長くかけすぎた長さ的要因。
そんなわけで、強いブレーキを長くかけ続けると、ある段階でロックしだすことに気づけます。
この辺は、また後日。
・遠心力を減らす
①ハンドル切りを減らす
②速度を落とす
③車重を減らす
再三述べてるように、遠心力は、「小回り・速さ・車重」によって増大します。
ソース↓
独立行政法人自動車事故対策機構『運行管理者基礎講習用テキスト』14版 p252
つまり、「速く・小回り」するというのは、遠心力を減らす上で、相反するものを求めている状態なわけです。
トレードオフってやつですね。
ちなみに、これを克服できる人が、悪魔の実の能力者です。
もはや漫画から出てきた人物なので、同列に考えるのはやめましょう。
そこでです。
①コーナーで旋回速度が速い場合=ハンドル切りを減らす
②ハンドル切りが多い場合=旋回速度を減らす
とすると、遠心力を減らすことができます。
これでX値とY値が出そろいました。
これを脳内で式に代入します。
もう一度貼ります。
『タイヤのグリップ(X)vsかかった力(Y)』の戦いです。
絶対に負けられないかは、さておき。
X値が低くなる雨や冬路面では、Y値を減らすように考えます。
既述した通り、Y値を減らす方法はいくつかありますから、それらをコーナーに応じて選択します。
滑らない走りとは、この経験値のことだと思っています。
大事なことは、『X値は道具により、Y値は技量によって変動する』ということです。
たとえば、いいタイヤを履けば、滑らなくなります。
すると、一見技量が向上したように感じますが、Y値(の組合せ)に対する経験値は変わっていません。
そのままY値を上げていった結果が、ある日突然の転倒です。
この時、ライダーは、キツネにつままれたような心境になるでしょう。
この状態でうまくなろうとすると、実は遠回りになる可能性があると考えています。
Y値に対する理解がないから、転ぶか転ばないかを運任せ的になり、結果、一向にY値に対する理解を得られる機会を逸するという無限ループに。。
私は、ツーリングタイヤで事務をやっていたことで、大きなメリットがありました。
X値が低いため、容易にY値の限界点について学べたのです。
しかも、Y値を受け止める容量が少ないため、速度域の低いとき、すなわち危険の少ないときにそれを学べました。
タイヤのグリップ性能の低い時代からやっていたSITO(もうまんまじゃん)さんは、
『カネは、あとからかけたほうが伸びるよ』といっていましたが、その理由の一つがここにあったと考えています。
「このタイヤで、この突っ込み速度なら、ハンドルを切れる量はこのくらいだな」
とか
「この突っ込み速度で、あのキツイコーナーを曲がると滑る。速度を下げきるまでオーバーランするほかないな。んでんでんで」
とか
分かるようになり、雨でも怖さが減ります。
X値が下がっていることを考慮すればいいわけですから。
そんな感じで、傾けたから滑るわけじゃなく、タイヤのグリップに勝る力がかかったから滑ると考えながら、走ってみてください♪
「そんなに傾けたら、転ぶやろ!!」
↑これなんかも、そんな単純な話ではないと思ってます♪
ちなみになんですが、速いとは、「グリップがあり、かつ、遠心力を減らせた」状態だと考えています。
つまり、タイヤが太く、車体が軽い状態が一番有利に思えますね。
そういえば、F1は、タイヤが太く、車体は軽いですよね。
それから、雨で、軽いバイクが有利なのもそんな気がします。
「重い」って、X値を高めるけど、Y値を大幅に下げるから、不利だと思います。
重さは荷重で作って、車体は軽くするのが一番なのかもしれませんね。
人間も、バイクも軽いほうがいい。
まぁ、僕は、人間(ただし、女子に限る)は、親近感ボディが好きですけどね←