かくして、急展開でギターを買う目標を立てた私だった。
500円の辛さ
夕方でも「おはようございまーす」とバイト開始。
地域で有数の規模を誇る総合病院の前という事で
週末にもなると、見舞客で満席にる事もしばしば。
喫茶だけではなく、定食メニューも豊富で
厨房から、客席まで運んで・・
ダッシュで戻り
ビールジョッキを4つ同時に抱えて
また客席へ・・・
エアコンの効いた店内だが
もう汗だく、それでも「オーダー入ります」って
ヘロヘロになっている私
「こっちまだかぁ??」って怒り出す客。
若手の先輩・・いつも優しくしてくれていた。
いつになく真剣な顔をして・・・
「な、500円稼ぐのに
どれくらい苦しい思いをするか解るよなー」
身に沁みて感じた、お金の有り難さ・・・
そして無気力な自分が、少しずつ変わっていく事も
「なおそうや君
来週から昼間も来てくれない?」
うへえー・・・と反射的に思ったが
それと同時に「認められたのかな」と
先輩と言われて・・・
バイト生活も半月を過ぎると、満席のタイミングや
効率の良い休憩の取り方がわかってきて
アレほど悶絶していた「労働」に余裕が出てくる
慣れってスゴイよね。
ふと息の抜けるひと時、厨房の若大将が
タバコをふかしながら
「来週から、調理の見習いが入るから
なおそうや君、先輩として色々教えてやってくれ」
ガタイの良い厨房では大声で怒鳴りまくる迫力の人
息抜きの時は優しい兄のように話しかけてくれる・・
同一人物とは思えないのだ。
え?ぼ・ぼくが先輩!?
無気力という「殻」にパリッとヒビが入った🐣・・気がした
先輩として恥ずかしくない行動をしなきゃ。。。
シンプルにそう思った瞬間だった。
当日
先輩に「昇格」するその日
シフトは昼から閉店までの長丁場
新人は夕方から来るとの事
PM4:00 さあて・・・??来ないな・・
予定の時刻を過ぎても現れない
おかしいな?なにか勘違いがあったかな?
店主ママもおかしいと思ったらしく
「なおそうや君、様子を見てきてくれる?」
「はい」
お世話になっている喫茶店は、数件離れた角に
駐車場と社員寮があって
何人かの方が住み込みという形で暮らしている。
仲よくしてくれていた喫茶担当の先輩の「家」でも
あったから、何度かお邪魔していた。
新人さんも寮住まいでのスタート
勝手知ったる何とかで
寮の門を通って廊下へ・・・
あれ?誰もいない
それどころか、先輩の「家」もドアが空いたままだ。
まあ、皆「家族」のようなものだから
鍵など必要ないのだろう
店に戻って「それが、誰も居なかったんです
それと・・Aさんドア空いたままでしたよ」
「え?、俺ドア閉めたけど」
「え?開いてましたよ」
不思議な「間」が続いた・・・いや「魔」と言うべきか
客足が一段落していたので
先輩は住まいである「寮」へダッシュ
数分後、息を切らしながら戻ってきた。
「ハァハァ・・・ヤラれた!」
何事かと厨房から顔を出したAoさん
彼も寮住まいである
「チクショー!俺もヤラれた」
現金や腕時計、金目の物をかっぱらって
新人は消えてしまった・・・
もう一方、寮住まいのO先輩は
秘蔵のエ◯本を持っていかれていた。
定刻になっても現れない「新人さん」
実はただのドロボーだったのだ。
いや、当初は真面目な気持ちだったかも知れない
・・そう思わなきゃ「今日から先輩」の自分が救われないw
私の「殻のヒビ」は、ヒビのままになってしまった。
事実は小説よりも奇なりとは



