あっちこっち
今を遡り、時は平成初期
私はとあるHONDAのディーラーメカとして
修行をする毎日だったんだ
当時は小型のワンボックスバンは
メーカーラインナップになかったから
その場合は付き合いのあるディーラーから
希望の車を融通してもらうのが通常だった
そんな中の一台
「タウンエースバン」
T社のベストセラーで
大きすぎず・小さすぎず、程よいサイズで好評だった
付き合いのディーラーさんから当社を通じて販売
その後のメンテナンスはウチが引き受ける事となる
工場には「ピット」と呼ばれる
人がスッポリ入れる穴が掘られていて
「クイック」と呼ばれる簡単な作業はここで行う
先客のオイル交換を終えて
ピットを片付けしていると・・・
なおそうやくん!
こないだの新車、走るとフラフラしちゃんだよねー
ちょっと見てくれん?
・・・あ、はい
ピットから頭を出すと
ちょうど車の下方が目線に入る
が、その時点で変なんだ
もう・・ね、タイヤの向きが変なの
そのままピットに乗り入れてもらい
足廻りを下から覗いたら
はあぁぁぁっ? 我が眼を疑う
あろうことか・・・フロントサスペンション
全てのネジが「ゆるっゆる」の状態だった
サスペンションアーム、ボールジョイント
スタビライザー・・・全てが「ゆるっゆる」と言うか
緩んでいるというのは、締まっていた状態からの変化で
そもそも締めた形跡すら見当たらない
怖っ!
先輩メカニックも
どうしたっ?っとピットに降りてきて絶句している
「製造ラインで仮組みしたまま
締め忘れたんじゃないか?」
これが一応の結論だった・・・けど
10000歩譲って製造ラインでそれが発生しても
信じられないのは
・製造ライン完成検査
・出荷時検査
・ディーラー出庫検査
これら数々のチェックラインを
華麗にスルーして
いま、道路を走っている事実だった
そりゃ、フラフラするわな
担当のT社営業マンへ連絡をすると
今までにないスピードで回収に来たのだった
もう一度
怖っ!
もう40年近く前のお話でした
時効・・・だよね?


