旧い友人から、携帯電話に着信・・・
急にポツリと連絡が入る時
それは良くない知らせである事が多く
今回も残念ながら、その予感があたってしまった。
「アイツ・・・死んじゃったよ」
「えっ?」
急な出来事に出くわすと
胃がギュッと縮む癖がある・・・今回も
エアコンが入っている部屋にいるのに
急に喉が乾いてしまった。
何の知らせか
この頃「元気にやってるのかな」と気にかけていた
矢先のことだった。
私が結婚したばかりの時に
祝いに来てくれて依頼、合ってなかったから
もう15年以上の月日が経っていた。
連絡をくれた友人は
急逝したアイツとはFaceBookで
たまにやり取りをしていたらしい。
その繋がりで、訃報に気がつくことができた。
SNSも、そんな連絡手段になる時代だ。
私と旧知の仲間二人
翌日、告別式の斎場で待ち合わせることにした。
三人、ほぼ同時に駐車場で落ち合う。
挨拶もそこそこに
式場の受付へ向かう途中
仕事仲間と思われる人物の話が耳に入った。
内臓疾患を抱えてしまっていたとのこと
医者から絶対禁酒を言い渡されていたにもかかわらず
それを聞き入れることなく酒を飲み続けた果ての急死。
アイツらしい最期だ。。。
もともと破天荒なところがあって
他人の注意なんて聞き入れる柄じゃなかったもんな。
この歳だから、弔問に訪れるのは初めてじゃない。
いつもなら、静かなBGMが流れて
しめやかな空気を作り出しているのだが
今日のBGMは「My Way」シド・ヴィシャス版だ。
あまりにも、アイツのキャラに合いすぎて
不謹慎ながら吹き出しそうになってしまった。
こんな生き方が
オマエのMy Wayだったんだな。
シド・ヴィシャスの破天荒さとソックリだわ。
予定時刻きっかりに
告別式が始まった。
親族の方々の着席、和尚の入堂。
木魚は8ビートという訳にはいかないか。
親族席の先頭に
お袋さんの姿が見えた。
あの頃
「なおそうやくん、ご飯食べていきなさいよ」と
呼んでくれた。
私のスベりギャグにも大笑いしてくれる
明るいお母さんだ。
もう、あの頃から30年も経つのか・・・
少しお歳を召された感じ(当たり前)ではあったが
あの頃のままだ。
今日の彼女は、時折疲れた表情が見えるものの
私が意外に思うほど落ち気払っていた。
親族の焼香が済み
参列者の焼香へと続く。
斎場のスケジュールは分刻みで
スタッフがキビキビとした動作で進めてゆく。
オマエとは
もう一度、ゆっくり話がしたかったな。
そんなことを思いながら手を合わせ
香の煙を見つめた。
滞りなく告別式は予定を終え
男性スタッフが
「これで今生のお別れとなります
どうぞ皆様、故人のお近くへ」
とアナウンスすると同時に
棺の蓋を開けたその時だった。
今まで、落ち気払っていたお袋さんが
わっと泣き出したのだった。
今まで抑えてきた感情を一気に爆発させたかのように・・崩れるように。
彼女は落ち着いていたのではなく
現実を受け止められていなかったんだ・・・
当たり前だ
勘違いしていた自分が恥ずかしい。
ここでやっと自分の結論が出た。
やはりダメなんだ。
親より先に逝くのはダメだ。
一見、落ち着いていたお袋さんを遠目に見て
あんなに無表情でいれらるものなのか?
と不思議に思ったのは「虚無感」の中で彷徨う人の
ドライさだったのだろう。
これで最期・・・
棺は閉められ、荼毘に付される。
その瞬間、彼女は息子の「死」を
現実として背負ったのだ。
友人よ、オマエがどう生きようが
どんな人生を選択しようが、それは勝手だわ。
ただ・・・さ
オマエがヤケ酒を繰り返していた時
何かあったら、親がこんなに悲しむことを想像したか?
その事だけは大きな間違いだったぞ。
シド・ヴィシャスは若くしてこの世を去った。
それが俺のMy Wayって歌いながら。
でもそれは「私の行く道」ではなく
「俺の勝手だろ」って聞こえちゃう。
だって、彼の親もきっと悲しんだに違いないから。
その事だけは
いつかアッチで会えた時たっぷり説教してやるからな。
「もう見送るのはコリゴリだな」と
参列した友人と頷き合う。
この数年で、急逝した友人が他にもいるからだ。
「俺の時はよろしく頼んだ」と冗談にもならない冗談を
言いながら、こんどは良時に会おうぞと約束した。
今日は、一日涙雨。
アイツは自分の誕生日にこの世を去ったのだった。