はじめに…
今から30年以上も前の話ですので
今との相違、詳細の不明確さなどはご容赦願います
産まれて初めて
日本以外に足を踏み入れた異国の地は
インド
飛行機のタラップを降りようと
一歩外に出ると
とてつもない蒸し暑さが押し寄せます
全身にまとわりつくような湿気です
合わせて飛行機の機内以上に漂う独特な香辛料の香り
(外もか!?)
暑いし、蒸し蒸しが半端ないし
すぐ汗でべとべとになる身体
空港の施設内にすぐ入りたかったけど
ここで、一緒にケニアまで同行してくれる旅行会社のスタッフさんから忠告が
日本の航空会社はほとんどそんな事はないけど
海外の会社はわりとずさんだから
乗り換え時、預けたスーツケースの出し忘れ、積み忘れで、荷物の紛失がよくあるんだとか
ええ!?
旅のはじめにそんな事になったら
目も当てられません
なので、自分の荷物が無事に出され、
乗り換えの飛行機に間違い無く運ばれていくのを確認した方が良いとのこと
ひたすら外で、汗ダラダラになりながら
私達が乗っていた飛行機から
間違いなく自分達のスーツケースが運び出されるのを待ちました
確認できたところで、ようやくエアコンの効く空港内に入れるという
空港はとても綺麗でした
時間的なものもあったのか、閑散としていて人も少なめ
さて、6時間どう過ごしましょ
各自、時間までしばしの自由時間です
コーヒーを飲みに行く人もいれば、
待合室で仮眠をとったり
私は免税店を数時間ウロウロして
祖母にインドシルクのスカーフのお土産を買ったりしていました
残った時間は待合室で時間を潰していました
そうこうしているうちに お手洗いにいきたくなったんです
普通、何気なくトイレなんて行きますよね?
場所を探して、あ、ここだ、と
けれどこれが、後でめちゃくちゃ後悔する事になるのです
1人でトイレに行ってしまった事
トイレのドアを開けると
インド人の女性が1人
立ってこちらを笑顔で見てきます
トイレ内を見回すと他に人は誰もいない
私とその人だけ
トイレ、ガラガラなんです
どこに入っても良さそうなのに
ここに入りなさいと、一つの個室のドアを開け私を手招きします
ええっ?と思いましたが
ちょっと怖いので言うなりになる私
その個室に入り、用を足して出ると
今度はいくつか並んだ手洗い場の一つに私をやはり手招きし
私が行くと、蛇口をひねり水を出し
ここでどうぞ洗えと指示してきます
またもここで言いなりの私
終始女性は笑顔で世話をやく
私もどうして良いかわからず、微妙な笑顔を返しつつ言いなりに…
手を洗い終わり
やっとこの気まずい空間から出られる!
待合室に戻ろうとドアへ向かう私の前に
その女性はずずいと立ちはだかり
手のひらを出しお金を要求してきたのです
あぁ!!しまった!
これか!?
気づくのが遅かった
でももう後の祭りです
ノーマネー!
ノーマネー!
と言っても、女性は首をふり
出した手を引っ込めません
さっきまでの笑顔はどこへやら
一転し急に真顔です
ドアの前に立ち塞がっているのでその先にも行けず
私は自分の行動を猛省しつつも
ポケットに入っていた飴玉2、3個をその女性の手に乗せ
これしかないの!
sorry!
sorry!
女性、めっちゃ怖い目つきで睨んできます
今でもあの顔は忘れられません
私はひたすら謝りながら逃げるように走ってトイレから出ました
追ってきたらどうしよう
とドキドキしながら小走りで
みんなのいる待合室へ
無事に合流できて、旅行スタッフさんにその事を話すと
だから言ったでしょ、と
確かに
1人でトイレ行く時など、気をつけてねと
話しを聞いていたはずでした
色んなところで待ち構えている人がいて
あれこれやった見返りにお金を請求してくるから
絶対にそれを求めていないのなら、毅然とした態度でNO!と言う事
流されて曖昧な態度は取らないこと
それで生活している人達なので、向こうも生活のために必死だからと
そう、きちんと聞いていたはずなのに
空港内は
公共の施設、安全
と勝手に思っていてしまって
油断していました
ボケボケでした、私
これだから日本人は平和ボケしてると言われるんだなと
つくづく反省しました
この旅行では
普段使い慣れない、NO!とハッキリ言わなければいけない事たくさんありました
最初はNOって、言ったら感じ悪いかな?とか
思っていた私も
むしろ意思をはっきり伝える事は
相手の為にも自分の為にも大事なんだなと
心に刻んだ旅行になりました
一つ前の記事になります
お読みいただき、ありがとうございます