今日のイッカピ
アーノンクール指揮によるバッハのカンタータ第178番「主なる神は我らが側にあらずしていずくにかとどまる」
宮沢明子によるモーツァルト、ソナタ変ロ長調K.333。
コルスティックとトリンクス指揮ORFウィーン放送交響楽団によるベートーヴェン、協奏曲ハ長調作品15。
プライとムーアによるベートーヴェン1809〜1816年頃の歌曲。
当時伝染病と格闘する青年医師を知ったベートーヴェンが称賛と激励の手紙を送ったが、その返礼として送られたというその医師自作の抒情詩。おそらく手元にあったのがそれだけだったのか、その素朴だが心のこもった6つの詩が、スランプだったベートーヴェンを救い、晩年の傑作たちを生むラストスパートの原動力になっただけでなく、その後のロマン派シューマンにも消しがたい影響を与えた歌曲集「遥かな恋人に寄せる」となったことを、青年医師は知ることができたかどうか。
医師の活躍をベートーヴェンが何で知ったかは知らないが例えばそれを知るに至った記事を書いた人、多忙な医師の引き出しに永久に消えたかもしれない詩、ちゃんと手紙を双方に届けてくれた当時の配達人たち、時代とんでプライとムーアにこれを録音させたプロデューサーたちも含めて、遥か時空を隔てた私の耳にこの曲が届くまでの果てしないすべてのバトンの繋がりに、あらためて深い感慨を覚えた。
万年青年プライの死を悼む西野茂雄氏によるライナーの言葉とともに、心から心へ「遥かな恋人に寄せる」が入ってきた。
デュオ クロムランクによる美しいシューベルトのD.608と624
貴重なレーヴェの弦楽四重奏曲全集より第1番。
マズア夫妻の共演を中心としたCDよりメンデルスゾーン作品。
ルプによるシューマン「クライスレリアーナ」。終楽章の破滅感も心にぐさり刺さった。
シューマンの原動力となったホフマン著「クライスレリアーナ」を読みながら。
セルとコンセルトヘボウの共演を集めたタワーレコード社企画の4枚組セットよりドヴォルザークの第8番。
セルならではの電気を帯びて走り出すような演奏だが、この楽団らしい渋く落ち着いた響きと疾駆感のブレンドが絶品。
リヒテル1993年7月7日のライヴ盤より6曲。
淡々と弾かれていく世界に、私は泣き伏したくなる。ほほえみと哀しみがそのまま込められた音に、静かに打たれる。
シュトラウスファミリーと同時期か少し後の、他の作曲者たちによるウィンナワルツ集。1956年ウィーンでの録音。
オフェリー ガイヤールとその仲間たちによる、格好良い哀愁と舞踏の南米音楽。
サン=サーンスと同様、プーランク晩年の管楽器のためのソナタは軽やかな風のように心に沁み透る。沈殿せず、過ぎていくだけの、新しい抒情の在り方。