宮菜穂子オフィシャルブログ「菜時記」Powered by Ameba -1856ページ目

チャリンコ旅、その伍。(長っ・・)

旅4日目 晴 松江~出雲大社


まだ暗いうちに起きだして、自転車で松江城へ。

お城に向かう堀川べりの塩見縄手通りに東の空からうっすらと朝日が。

お城の鎮守の森を橙色に照らしてます。

こんもり茂った松や榎が堀川を覆い、俗人と天守閣を隔てる緑の霧のよう。

天守閣に登る石段は杉苔で覆われ、スッーと息を吸い込むとお城をまもる森の一部になってしまいそう。

天守閣は8時から開門。

搦手門から街へ。

この搦手という言葉、ここから来たんだ。

街はまだ眠っている。露、霞、靄、静、閑、匂。


朝日の塩見縄手通り

朝食後に出直し、改めて8時、天守閣へ。

松江城

開門したばかりなのに人口密度が高い!

外人の大集団。

慶弔16年(1611)に建てられた、五層六階、高さ30mにある天守閣。

各階毎に展示物がある。

岩落とし、小便落とし、箙、鎧、重箱、湯桶、鬼瓦、色んな物が残っている。


しかしガラスケースのそれらよりも、立派な木、木、木。

外から見れば、一つの城、中に入れば、大小さまざまな木組み芸術。

お年をめした外国人観光客さんたち、この階段はそうとうにきついらしい。

上層階にいけば行くほど、面積が狭くなるのだもの。

これは、階段ではなくて梯子だ、と仲睦まじく、ゆっくりと上ってます。

が・・・。日本人のサイズだもの。

お尻がすこしつかえてしまってます(笑)

ついでに、階下にも人がつかえてます。

私はつかえてません・・・

しばしベトナムのクチトンネルに行ったときの事を思い出してしまう。

やっとたどり着いた天守閣にて、四方を見渡し、来し方、行く方を確認。

空の具合も、風もよさそうだ。

出雲方向に向かって願をかけ、英語の飛び交う天守閣を退散。

不味公のごとく

松平不味公の育てた地、お茶と和菓子はいただかなくては。

小泉八雲記念館はまたにして、一路宍道湖北回り431号線を大社へ。 

この国道は、一畑電鉄沿いに通っている。

これが何ともレトロな電車で、昭和3年来の日本最古の現役電車なのだそう。

山陰唯一の民鉄。始発は松江しんじ湖温泉駅。駅名にあわずモダンな駅。

快走
快晴。宍道湖はキラキラと輝き、なんとも気持ちよい。


途中、平田駅近くにて昼食。後にも先にもここしかなさそう。

その店で・・・こんな誤食?をみつけました。

まちがいさがし

ちなみに私がいただいたのは焼きそばとコーヒー。

14時過ぎには大社手前の古代出雲歴史博物館に到着。

入場料、高っ・・・。押し黙る私。

学生さんですね、ハイという会話がスムーズにとり交わされる。

巫女風な制服をきた係員さん・・・ありがとう。

古代出雲王国とは・・

巨大神殿であったといわれる出雲大社のさまざまな模型。

あらためて、その神話と歴史にとりつかれる。


16時前に本日のお宿に到着。

荷物を置き、一路日御碕へ!!

その道、最高。海沿い波沿い夕陽沿い、車なし。

これぞ自転車冥利に尽きる道。夕陽、拝みました。



帰路、なんと出雲阿国の墓を発見。

お国探訪マップなるチラシが通りのあちこちにおかれていることに気づく。

出雲神話で心いっぱいで、すっかり阿国さんにご挨拶しわすれていた。

急ぎ、お参り。


すると、、、、阿国の墓のすぐ後ろに、

「ミュージカル阿国公演記念碑」木の実ナナ、と書かれた碑が。

!!!!!!!!!!


何日かぶりにミュージカルなるカタカナ語に遭遇し、

同時に演舞場にて涙涙で見た阿国の舞台を思い出し、

そして、「自分」を思い出す。

そうだった、としばし小躍りして、小歌いして「自分」を確認する。

チャリンコと自然に同化して、己を奪われそうになっていたらしい。

大げさな。いや、それほどに、山陰のこの自然は雄大。

この出雲の地は熊野に通ずる何か匂立つ深く根付いた地。

しばし小躍り この丘にて


夕陽の落ちきらないうちに、ほかの阿国の場所へも。

阿国終焉の地、阿国歌舞伎最後の地。

どこの碑のそばにも、きれいな花と、歌舞伎界、新派のお歴々の名前の碑が。

街へ戻り、大社へご挨拶に。

なにやら物々しい雰囲気。

なんと今年は60年に一度の遷宮の年であり、今日はそのお祀りの第一夜であるという。

御本殿を十九社脇からのぞく。だって24メートルの高さだもの。


国宝をかいまみる

囲いで見えなくとも、横からは覗けるはず。

(*十九社・・・神在祭の間(旧暦10/1117)、集われた全国各地の神々の宿所となる社。)

ちらりと見えた本殿、そのつくりなんとも由緒正しく、色、質感目にせまってきます。

さすが国宝、日本最古の神社建築様式。そしてその本殿をつつむようにそびえている八雲山、

やくもたつ・・・とわたしでさえも詠いたくなる。

やはり神宿る地。土の下から、松の根の下からわきたつ歴史、思い、音、息吹、匂。

海と波と太陽。それだけの出雲、それだからこそ出雲。


明日は朝日と共に、お参りしよう。

街をみてみよう。

静けさとともに、ほっと一息。

3日後に花見で数百人のわんさの人だかりになっているニュースを見ようとは思いもよらず。