『渚にて』 | 現在と未来の狭間

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文芸と自転車、それに映画や家族のこと、ときどき人工透析のことを書きます。

今日は電車の中で『渚にて』を読み終えた。

もう大分前に買った本だが、徐々に読むスピードが落ちていた。読み進めるにつれ切なくなるのだ。

中国とソ連が核戦争を始め、それに欧米加わり世界戦争となる。だが、地表はコバルトで次第に覆われて行き、ゆっくりと人類が死滅へと近づいて行く。北半球は壊滅し、徐々に南半球に広がってくる。南アメリカからの最後の通信が途絶え、ついに人類はオーストラリアだけに残された。だが、彼らの土地も徐々に北部からコバルトが広がり、下痢や嘔吐に苦しみ、次々に町が壊滅していく。

それでも残された人たちは、残りわずかというところまで、自分たちの生活を普通に過ごそうとする。そこが悲しくも愛らしい。取り乱す事なく、自分たちにできることを最後まで、最後まで。

よく、人類が死滅したらあなたは何をするか?という問いかけがあるが、この小説には、その答えがいくつも描写されている。

電車の中で読み終えてちょっと気分が落ち込んだ。でも、ここからインスパイアされるものもあり、この話をベースに物語を作る。そこには透析患者の気持ちが少し垣間見えるのではないかなと思う。これが自分たちの気持ちだと、言葉にするのは難しいが、想像のお話としてなら表現できそう。