現在と未来の狭間

現在と未来の狭間

文芸と自転車、それに映画や家族のこと、ときどき人工透析のことを書きます。

本当はゆっくりと過ごして身体の疲れをとりたかったのだが、初日から鹿嶋へ行っていた。

東京が湿度が高く、ちょっと動いただけで暑くて不快だったのだが、バスから降りた途端に寒い。空はずっと蜘蛛が広がり太陽を遮っていたからか丸っきり暑さを感じない。風も吹いていて空気の通りが良いのか秋らしくなっていた。

父が入所している施設は鹿島神宮駅からタクシーで30分ほど移動したところにある。片道タクシーで5600円くらいかかる。バス移動が2時間で2000円に対し、実はそこからがもっとお金が飛んでいくのだ。他に移動手段が無いのだから仕方がないのだが。

タクシーでの移動が済むとやっと父に会えるのだが、これがまあなんと面会時間が15ふんである。バスで2時間、タクシーが30分、往復5時間かかるのに、目的である面会が15分なのだ。地方では依然コロナの対策があり仕方がないのだが。

父に会うといきなり紙の束をどっさりと渡された。父の塗り絵の作品である。

職員さん曰く、リハビリトレーニングは割とサボり気味で、起きていて食事をする以外の時間は、ほとんど塗り絵に集中しているとのこと。

まあ91歳で好きなことが見つかるのは良いことだ。母が亡くなり悲観するよりはずっと良いこと。

こういう調子だと前回送った大人の塗り絵の冊子も塗り終えていると思い、新しい塗り絵本を2冊買ってきた。父はこれを喜んでくれたのだけれど、色鉛筆も欲しかったという。見せてもらうと深みどりがだいぶ短くなっている。

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先月買ったばかりだが半年くらい使い込んだようになっている。東京に帰ったらすぐに手配して届くようにすると約束するとニッコリと微笑んだ。

ふと父の手を見た。血管が浮き出て痩せ細っていた。父の手を、自分の手で包むようにして握ると冷たく冷えていた。

少し摩っていたところで面会を終えるタイマーがなり始めた。

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