岩波ジュニア新書 | 現在と未来の狭間

現在と未来の狭間

文芸と自転車、それに映画や家族のこと、ときどき人工透析のことを書きます。

午前中に銀行のATMで通帳の記帳と国民健康保険の支払いを済ませて、駅前にある本屋へ向かった。

この本屋さんは会社勤めしている頃からよく利用する本屋で、本を手にとって買うならここだと決めている。それほど広い敷地ではないが、小説、漫画、趣味の本など、自分の興味や関心に触れる本が適宜配置されていてとても気に入っている。自分が気付くところに欲しい本が置いてあるということで、店内をブラブラしているだけでも楽しくなってくる。

とはいえ、大体は本のドカ買いをしてしまうのだけれど。

今日購入した本は、趣味の雑誌「自転車日和」と、香山リカさんの「10代のうちに考えておくこと」瀬戸賢一さんの「日本語のレトリック」。新書2冊は岩波ジュニア新書である。

ジュニア向けというのか、中学生向けの新書だ。実はこの手の本を自分はよく読む。元は子供に読ませようと思って買っていたのだが、子供に勧めるにはまず自分が読まねばと透析の時間に読んだりしていた。それが親がはまってしまったのである。

自分が中学生の頃は方よった本ばかり読んでいた反動なのかもしれない。

さっき、透析の時間の中で「10代のうちに考えておくこと」を読み終えた。

この手の本を大人が読むと読みにくいという意見も聞く。ひらがなが多いし、普段、小説などを読むリズムと違うからなんだろう。

少し心を落ち着かせて、声に出すような感じで読み始める。出来るだけゆっくりと文章を追うことを意識するといいのかもしれない。

この本はもともと毎日中学生新聞に掲載されたコラムだ。読み進んでいるうちに分かったが実は女子中学生向けに書かれたコラムだったりする。

けれども書かれていることは、社会問題の事だったり、子供が巻き込まれた凶悪殺人事件のことだったりと、つまりは大人も抱えている問題に触れている。凶悪殺人事件についてのことを、子供の目に触れさせるなんてとんでもないと思われる向きもあるかもしれないが、事件に巻き込まれているのが子供であるからには、彼ら彼女らも当事者なんだと私は思う。なぜ、こんな事件が起こるのかを大人はきちんと説明できない。でも、香山さんはあえてこの問題を取り上げて精神科医としての見解を分かりやすい言葉で説明したり、または呼びかけたりする。

一通り読んで思ったのは、あ、この本は別に10代に限らず40代が読んでも全然ありじゃんということ。

中学生に向けて、緊張したり、悩んだり、苦しんだりということ、どうしたら解決できるか分かりやすく書いているけれど、これは大人にも言えていること。題材の多くは大人がこんなことで悩んでいるというように書いているし、第一、難しい言葉はいっさいない。大人向けに書かれた難しい本だとちょっと懐疑的になるけれど、香山さんは、こうしてみたら、とかこうするとイイかもと呼びかけている。呼びかけの文体はわりかし頭の中にすんなりと入ってくる。

コラムの最後に必ず香山さんからの質問があって、これがまた考えさせるというか、コラムの内容を印象付けてくれる。いい質問が多いのだ。

例えば、

生徒や学生以外のあなたの顔は?と聞かれたら何とこたえますか

自己紹介でふたつだけ自分をアピールするとしたら、何を話しますか

ひとりで変身するとしたら、何になりたいですか

など。自分とは何であるかという多感な中学生が深く考えそうな質問だと思う。

あ、かみさんに言わせりゃ、あんた未だに自分が何者なのかって考えているでしょ!て言われそうだなあ。