2023年10月15日、「橋からの眺め」を観てきました
アーサー・ミラー作。名前を聞いたことがある気がして、何となくチケット購入。
観劇後に調べたところ、「民衆の敵」を観たことがあり、「サラリーマンの死」と「るつぼ」はタイトルのみ知っていました。
主演の伊藤英明は実に13年振りの舞台とのことで、カーテンコールのご挨拶で感極まっておられました。
坂井真紀は映画「アナログ」を見たところで、全然違う雰囲気に驚き。ちょっと面白い人でした。
高橋克実の登場。開演ギリギリに滑り込んできたおじさんが立ち尽くしているのかと思ったら克実さんだったので、笑えました。
福地桃子ちゃんは、なにわ男子の大橋くんのドラマ「消しゴムをくれた女子を好きになった。」のイメージだったので、この子、大丈夫かと驚きました。(役柄に、です)
和田正人さんは、TV局中法度以来、好きなのですが、役柄の幅が広くて、毎回、楽しみです。今回も意外な感じでした。
そして、松島庄汰くん。私の見ないラインの作品に出ているようで、映画「私の幸せな結婚」、舞台「富美男と夕莉子」だけ被っていましたが、残念ながら記憶にない…。
それにしても、後味の悪い作品でした。
父(または祖父)の時代にイタリアからアメリカに移住してきたエディは、妻ビアトリス、姪キャサリンと貧民街に暮らしながら、港湾施設で肉体労働に勤しんでいる。
エディは親代わりとしてキャサリンを束縛するが、徐々に肉親のそれとは違ってきて、ビアトリスはそれに気付きつつどうにもできない。
出稼ぎ目的でシチリアから密入国してきたビアトリスの従兄マルコと従弟ロドルフォを、同郷のよしみで受け入れるエディ。
しかし、エディは、金髪でお洒落に気を遣い、歌とダンスが得意なロドルフォを男らしくないと毛嫌いする。
やがてキャサリンがロドルフォにひかれ始め、エディは益々ロドルフォにきつく当たるが、お金が必要なマルコはエディの態度にもじっと耐えている。
しかし、エディは我慢の限界を迎え、衝動的に移民局に不法入国者がいると密告。
マルコとロドルフォが連行される時、マルコは面前でエディを激しくののしる。
強制送還までの期間、報復を考えないならば労働できると弁護士が勧め、ロドルフォも結婚式に出て欲しいと言い、マルコは渋々報復を考えないと約束する。
しかし、エディはマルコに謝罪を要求し、マルコはマルコでエディを許せるはずもなく、シチリアの男らしくエディを殺害する。
最悪なのはエディですよ。本当に。
最初、キャサリンと夫婦なのかと思ったくらいで、親子でもそんなにベタベタしない。まして叔父と姪なので、このままいったら早晩、性加害に発展したであろうと思う程。
ビアトリスへの態度はモラハラにしか見えず、高圧的で威圧的。加えて、セックスレス。
ロドルフォへは偏見からくる差別的な態度で、本人が望んでもないのにボクシングを教えてやると言いながら殴る様は、エスカレートするイジメを見ているよう。
マルコへも、自分より後にアメリカに来ていること、密入国であることから、下に見ていることが透けて見える。
外では最下層としてこき使われて鬱憤が溜まっているのかもしれないけれど、そうであったとしても目に余る振る舞い。
密告した後も一層、頑なだったけれど、もはや周りからも敵視されて孤立を深めていたので、殺したマルコに同情が集まったとしても、エディは自業自得と思われるだけだろうなと。
それにしても…。
マルコが強制送還されることは確実で、時期が決まるまでは問題さえ起こさなければ稼げると、弁護士は好意で勧めたのだろうけれど、要らんことをしたなという気がする。
収容所からマルコを出さなければ、マルコは人を殺すことはなかったし、エディが死ぬこともなかったし。
弁護士め。でも、好意からなんだよね。んー。ちょっとギリシャ悲劇を思わせる。
舞台模型
お花を見るのは久しぶりかも?
観劇前に茶寮フクチャで、深蒸しショコラ宇治抹茶とかりがね玄米茶