寄生バチに取り憑かれてしまったセスジスズメの中齢(4齢?)幼虫。生きてはいるものの、じっとして食べることを辞めてしまい、日に日にしぼんでいく。
寄生バチの繭が出来た日をday0としてカウントしてday6の朝。
繭の端っこに鋭利な刃物で切ったような綺麗な切れ目が入っているのを発見。
中は空っぽのようだ。
やばい… 犯人はこの飼育ケースのどこかに居る… フタを開けたら我が家の部屋の中のどこかに姿を隠してしまう…
しかし、セスジスズメ幼虫と寄生蜂を同室のままにしておくと、このセスジスズメ幼虫に新たに産卵されてしまうかもしれない。どうやら寄生バチの種類によってはメスだけで産卵して増える種もいるらしいのだ。セスジスズメ幼虫ちゃんはまだ生きているのだから、これから回復して再び成長を始めるかも知れないのだ。寄生バチに産卵されてとどめを刺されては困る。
どーしよ、どーしよ、とオロオロしていると、犯人が姿を現した。
セスジスズメに寄生したハチの繭から出たから、きっと「スズメヤドリコマユバチ」なのだが、じっとしておらず動き回るので鮮明な写真が撮れないので、同定が非常に難しい。一般的な昆虫図鑑にはサムライコマユバチなどの有名どころしか載っていないし、どーやって調べれば?
やっとの思いで見つけたコマユバチ科の検索表や文献に照らし合わせると、
①スズメガの中齢幼虫から出て来た
②奇主の背面に6mm程度の長さの繭を作る
③繭は淡緑色
④単寄生蜂(1匹の奇主に1個の卵しか産まない)
⑤羽が黒色
⑥体の大部分が黒色
以上6点から、スズメヤドリコマユバチで矛盾は無さそうだと判断した。
<参考文献>
1)江口祐太,スズメガ類の幼虫寄生蜂スズメヤドリコマユバチにおける寄生時の奇主齢期と生活史調節機構,九州病害虫研究会報,第61巻,p79,2015
2)松岡透以,スズメヤドリコマユバチに寄生する二次寄生蜂,九州・沖縄昆虫研究会会報,No.98,p783,2019
3)コマユバチ科検索表,神奈川県立生命の星・地球博物館
(2024/06/29 追記
ハチハンドブック/藤丸篤夫/文一総合出版/2023
に載っていました!スズメヤドリコマユバチで間違いなさそうです。)
スズメヤドリコマユバチについては、南九州大学昆虫生態学研究室が詳しいようで、スズメヤドリコマユバチへの二次寄生バチというのも居るという報告もあった。恐るべし、寄生バチの世界。
そしてなんとか工夫して、寄生バチの隔離に成功。
君に罪は何も無いのだけれど… 野外に放して私たちが大好きなスズメガ幼虫に産卵されるのは嫌だ。
天寿を迎えるまでケース内で飼うか…。
ネット情報によると、コマユバチの仲間は成虫期には蜜をエサとするらしい。砂糖水で飼ってみるかな。。。
こうして、招かれざる客が我が家に迎えられたのだった。。。
2024/07/02 追記
セスジスズメ幼虫さんは、翌日には亡くなっておりましたので埋葬しました
「スズメヤドリコマユバチ観察日記」へ続く
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