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フリーランス日本語教師のnaonao♥です。
専門学校の授業でディスカッションの授業を担当しています。
先日、「ピア・レスポンス」を使ってディスカッションの授業を行いました。
皆さんは、、「ピア・レスポンス」を知ってますか?
授業で実践されていますか?
学習者がペアまたはグループになり、それぞれが書いた作文に関して、
意見や改善すべきと思われる点を出し合って、
作文を推敲するフィードバック手法である。
作文を書いた後だけでなく、作文のテーマ探しから、
書き終えるまでのあらゆる段階で用いることができる。
ピア・レスポンスには、
①他人の批判を受けることで、読み手を意識した作文が書けるようになる
②説明をすることで、自分の考えを深めることができる
③話す活動と書く活動を統合できる、などの長所がある
とされるが、学習者のビリーフや個性、文化的背景によっては、
常に有効とは限らないため、配慮が必要である。
出典:ピア・レスポンス
もともとピア・レスポンスは、英語の第一言語話者に対する作文教育から始まったもので、
それが第二言語習得に応用され、90年代から日本語教育でも研究が行われるようになり、
近年、日本語教育でも取り入れられています。
作文指導というと、日本語教育では、ピア・レスポンスが普及するまでは
添削による教育が一般的でした。
添削の問題点も多く指摘されています。
(添削の問題点)
① 学習者は直されても、なぜそれが誤りではあるかがわからないことがある
② 学習者が自分で直すわけではないので、直したことがなかなか身につかない
③ 教師が学習者の言いたいことを誤解して直す危険性がある
④ 教師の直し方が必ずしも望ましい直し方ではない可能性もある
⑤ 教師ー学習者というある種の支配的関係を促進する恐れもある
ピアレスポンスは対等な関係にあり、
同じ問題を抱える仲間が直接話をする中で推敲を行うため、
上記の問題点を解決できる可能性があるとされています。
① 学習者は直された場合、その直された理由を解決できる可能性がある
② 同じ問題を共有する学習者同士で検討するので、問題点が共有されやすい
③ 意図がうまく伝わらないその場で説明でき、誤解の生じる恐れが低い
④ 多人数によるピアレスポンスの場合、修正提案の比較検討ができる
⑤ 対等な立場での修正なので支配的関係が生じにくい
ピア・レスポンスには、教師が加わらないことで、
ある表現が日本語として正しいかどうか、間違っているとしたらなぜか、
ほかに適切な表現はあるかなど、表現選択の背景にある日本語について
十分な説明を受けられないという問題点もあります。
さて、今回は、作文を書くことがメインではなく、作文についての学習者同士の
コメントのやり取りを、口頭表現の活動として取り入れてみました。
ピア・レスポンスは以前から知っていましたが、実践するのは今回が初めてで、
試行錯誤しながらの授業でした。
「質問をしたり質問に答えたりできるようになる」
「適切なコメントや司会進行ができるようになる」
を目標に行いました。
1.作文を書かせる(マインドマップでメモ作成➡清書)
(学習者の身近な話題。今回は「日本文化のここが変」にしました)
2.受け答えの練習
① 誤用の作文を見せて、直すべき個所をどう質問・コメントするかの練習
② ペアでパートナーの作文を読んで質問やコメントをする練習
A 意味の分からない・わかりにくい言葉があったときの質問
B 作文の良いところをほめるときのコメント
C パートナーの作文で直した方がよいところを見つけたときの質問
3.作文を読む(書いた人が自分の作文を読む)
4.質問・コメントをする
5.全体で振り返り
6.振り返りシートに記入
前半はペアで、後半はゼミ形式で3・4人で行いました。
普段とは違い、みな真剣に読み手の話を聞き、
メモを取りながら、上手に質問していました。
授業を終えて、
ピア・レスポンスの長所に挙げた①②は効果的でした。
参加者全員で話題の共有ができ、読み手はその場で
間違いなどの指摘に気づき、直すことができ、
自分の考えをより深めていたようで、
そこから、自然な質問が出たり、
学習者主体での授業ができたのではないかと思います。
対等な立場で話し合いができ、気づきがあるということは
ピア・レスポンスの最大の利点だと思います。
質問コメントの時間もあっという間に過ぎてしまい、
まだ話したりないという学生も多かったです。
実践してみての反省と今後の課題が見えました。
作文を書く時間が予定よりもかかりすぎたこと。
作文の量が多く書けない学生がいたこと。
早く書き上げた人とそうでない人がいて、書くのに個人差があり、
この授業は作文の授業ではないので、事前に課題にすればよかったと反省。
活動をさせる前に十分に受け答えの練習をする必要があること
普通体では話さない、単語で質問しないことなどを十分に練習しないと
活動では友達との普通の会話になってしまう恐れがある。
などなど、課題や反省点はありますが、
まずは実践してみてよかったと思います。
また、これを活かし、第2弾をやりたいと思います。
今回は口頭表現で実践してみましたが、
今後は作文以外にも読解、語彙などの指導でも応用できるのではないかと思いました。
第三回 日本語教師のための実践勉強会
開催決定
読解 第1弾
日時:10/30(日)10~13時
「中級読解の授業の作り方 ~総合テキストを教えよう~」
「中級の読解を教えているけれど、自信がない」
「中級の読解の教え方がわからない」
「学習者の読解力を高めるためにはどうすればいいか」
「中級の読解授業の組み立て方を知りたい」
「これから中級の読解を教えるので勉強したい」
など、お悩みの方、ワークショップを通じて
参加者の皆さんで効果的な読解の授業を考えて、シュアしませんか。
今回は総合テキストを使って 実際に授業の組み立てを皆さんで考えたいと思います。
残席残り僅かです!
※来月は中級読解 実践勉強会第2弾を行います。
読解 第2弾 日時:11月中旬予定(日時未定)
「中級読解の授業の作り方 ~JLPTを教えよう~」
JLPT対策の読解ではどのようなことをするのか、
授業に必要なことは何か、
テスト対策の読解ではどのようなことをするのか、
JLPTテキストを使って 実際に授業の組み立てを皆さんで考えたいと思います。
こちらの日時などの詳細は10月末にご案内の予定です。