安倍元首相の突然の死を悼む |   荒野に呼ばわる声

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                   南山 遥

安倍晋三元首相の死を悼む

 

 安倍晋三氏は、戦後の日本の政治史上においても大事な道筋を付けた偉大な政治家の一人だ。今回の突然の死は、日本において大きな大きな損失である。まずは何よりも、志半ばで倒れられた氏の思いを察し、こころからご冥福を祈らずにおれない。

 

 ところで、事件の直後から、「これは民主主義に対する冒瀆であり、挑戦である」との論評を、政治家をはじめ、評論家の誰もが口にしている。しかし、しっかりと今の日本を見てみるが良いだろう。

 

 「民主主義国家」と言いながら、参議院選挙の投票率が45パーセント前後を低迷している。また、戦後70年を経っても、自主憲法すら制定、いや議論にすら入れない国が、果たして「民主主義国家」と言えるのか。特に、憲法論議を回避する政治家に問いたい。

 

 明らかに日本の民主主義は、国民自らが血をもって勝ち取ったものでなく、敗戦によって連合国に与えられた薄っぺらい「民主主義」である。このことに目覚めなければならない。

 

 今回の事件の背景は別にある。 今、明らかになりつつあるが、民を救うはずの宗教、それは一部であると思うが、その堕落した結果だ。容疑者を救うはずの宗教が、憎しみを与えた結果だ。今の日本の深い闇の部分が、光に照らされなければならない。宗教が真に浄められなければならない。

 

 その大きな誤解の犠牲になられた安倍氏の死は、余りにも無念だ。それだけに残された者達が、世界に誇れる美しい国にするために立ち上がるのが、安倍氏の死に対する最大の供養となろう。

 

 義は国を高くし、罪は民を辱める。

            (旧約聖書・箴言14:34)

                             南山 遥