夢から醒めた夢 | ガラクタソウル

ガラクタソウル

この地球を包むけしてやまない歌に好きだと叫ぶ。

フラワーカンパニーズ
脳内百景


ブログをサボって1ヵ月半。

身内に不幸があったり心が折れることがあったり、とにもかくにも色々あったのですが

いいライブをいくつも観ることが叶ったし、夏フェスにも行ってきた。毎日楽しいよ、うん。



んで、RIJFなのですが、相方と「裏番組をぶっ飛ばせ(by師匠)」が合言葉になるくらいに

メジャーどころを観なかったんですよ。真心と民生とオレンジレンジだけかな?

あんだけ熱くていいMCしてるのに痛すぎるファンの比率が高くて報われないエルレガーデンも

曲はいいと思うけどキヨシローさんやYO-KINGに対してのMCとかあざとすぎてちょっと苦手なサンボマスターも

某ライブで「ロッキンださいから出たくない」と抜かしやがったOCEAN LANEも

(このバンドはほんとに馬鹿だと思う。嫌なら出なきゃいいのに貫けないチキンハートめ)

まあ、とにかく熱いMCかましちゃう青春系は一切合財観なかった夏フェスだったわけです。

銀杏とかもそうだけど、元々私は勘違い反抗期のB-BOYも大嫌いだし、

ファンが信者入ってるバンドも苦手でCDでおなかいっぱいになるし

いわゆる「ロキノン厨の論じるロック」っつーものに身も心を捧げられない嗜好の人なのですが。

高校時代好きでCD聴いてて、今回初めてライブ観たバンドに心奪われたんだな。



そのバンドは私がずっと好きなスキップカウズと同世代な感じで、高校時代は同じくらいよく聴いてた。

スキカウもライブ行くようになったのはメジャー落ちした後の2003年からなんだけど

彼等のライブは観に行ったことなかったんだよね。評判いいのは知ってたんだけど。



フラワーカンパニーズ



伝説の雨男グレートマエカワについてはこのブログで取り上げたんだけど

結成17年、インディー落ちしてから動員増やし続けてJAPANの兵庫に「ゴキブリ並み」と書かれる彼等。

今年37歳のおっさんは3日目朝一のサウンドオブフォレストでこう叫んだ。


「朝早すぎやしないか?……年寄りをいたわれーーーー!」


おなか抱えて笑いつつも、グレートのベースは素晴らしくかっこいいし、竹安さんのギターは巧い。

キャリア積んでるだけあって巧いバンドだからライブはもう気持ちよくて最高なのだ。

久し振りに「白眼充血」とか聴けて懐かしい!って思って、「馬鹿の最高」でガン上がりで

新しいアルバムのタイトルチューン「脳内百景」を聴いて、胸がずくん、とした。

それまではひたすら笑って拳突き上げてただけだった。

楽しくて気持ちいいのは変わらないんだけど、なんだろう。胸の奥になにか。

そして、次の「深夜高速」のイントロが流れた瞬間にぶわあって風が吹いた気がした。

鳥肌が立って、涙が滲んだ。


「生きてて良かった 生きてて良かった 生きてて良かった そんな夜を探してる」


心と身体全部でそう唄う圭介の声が胸に突き刺さる。

言葉に、声に、音に。彼等がステージから発しているもの全てに確かな重みがあった。ニセモノじゃないほんとの重さが。



元々スキップカウズと同じで、かっこよくなくて、かっこつけられなくて、情けなくて生々しい歌を唄うバンドだと思ってた。

その生々しさがとても人間くさくて好きなんだけれど、久し振りに聴く彼等は、初めて観る彼等は。

誰よりも普通の人間で、色んなものを背負ってて、何からも逃げてなくて、そして潔かった。



願い事は叶わない。奇跡は起きない。この手にあるものはすり抜けてひとつずつ失われてゆく。

いつか薄れゆく。いつか忘れる。夢は夢だから綺麗で、奇麗事を言えるのは無知だからだ。


今まで生きてきた経験や傷や勲章はひとつ残らずちゃんと刻まれていて、だからこそ「ただ生きている」ことを唄える。

綺麗な言葉でなくとも、言葉が足りなくとも、本当のことを彼等は唄う。

口だけの理想を唄えず、ましてや誰かを救う言葉なんて出てこない。


「生きているだけで 素晴らしいなんて そんなのいいわけじゃないか」


自分がこの世界で生きているからこその本当しか、彼等は唄えない。



フラカンはサンボマスターみたいに平和と愛を祈って皆で歌ったりはできない。

フラカンは銀杏ボーイズみたいに、若者の心を綺麗な涙で洗ったりはできない。

フラカンはバンプオブチキンみたいに縋ってくる信者の心を軽くすることはできない。

フラカンはエルレガーデンみたいにヒーローにはなれない。



だけど彼等が唄う本当のことに、絶望させられたりはしない。

彼等の歌に力を貰ってる人は絶対に少なくないはずだ。


フラカンは前述の通りブレイク寸前と言われ続けたままインディーズ落ちしたバンドで、

今はブッキングから何から何まで自分達でやっている。

流通だけインディーズ、という今流行の『エセインディーズ』じゃなく、正真正銘の『どインディーズ』だ。

37にもなって機材車に乗って全国津々浦々年間100本とかライブこなして、DJやって「ジェンカ」踊ったりとか

なんかもうほんとに苦労してるうだつのあがらないおっさんたちだ。


だからこそ

「生きているだけで 素晴らしいなんて そんなのいいわけじゃないか」

なんて唄えるんだと思う。

だけど、ライブは最高に楽しくて幸せで気持ちいい。

今、やっていることに迷いがない。全部を背負っても倒れない強さや潔さ、しぶとさを彼等は持ってる。


「生きてて良かった 生きてて良かった 生きてて良かった そんな夜を探してる」


そんな夜があることを知っているからこそ、そう唄える。この唄は絶望の唄じゃないんだ。

ただ、ただ、生きている。夢も現実も希望も絶望も背負った上で、それでもちゃんと見えてるものがあって。

その芯の強さと言うのは彼等が今まで生きてきた歴史全部によって培われたものだから、

だからそれはとても真っ直ぐにリアルに私に響いた。

生々しさとニュートラルな感じが混在してる、っつーのかな。

「ただ、生きている」ことを唄ってるんだと思うんだ。思想を押し付けることは一切なく。

だけど、それこそが響くんだと思う。


「よさほいよさほい」って馬鹿みたいに踊るのも、「愛してます 白目をむいて」なんて気持ち悪い歌も

何もかも現実で生々しくて、馬鹿で楽しくて気持ちよくて切なくて痛いなあと、

朝一のサウンドオブフォレストで泣いて笑って踊りました。汗だくで。




来週はスキップカウズと2マンなので、SOLD OUTになってたチケットを必死で探して譲ってもらいました。

10年くらい前に好きになったバンドをやっと歌の意味がわかるようになった自分が観るって言うのは

非常に時の流れを感じるのだが、今、大好きになったこのときに昔と変わらずにそこに立ち続けていてくれることを

心の底から嬉しいと思う。

音楽を続けてくれてありがとうって。それはもっちゃんとか、畠山さんとか

私が好きなミュージシャン皆に対しての気持ちなんだけど。