- Jackson vibe
- GET ON THE BUS
笑っちゃうくらい節操のないアルバム。そして音楽はどこまでもハッピーな存在であること。
それが、この作品の第一印象。
そして、私がJackson vibeが好きな理由そのものだった。
音楽が好きな彼等が、好きな音楽を思いっきりやった結果生まれたのがこの作品だ。
カテゴライズは必要ない。「ハッピーな音楽であること」それしかない。
なんの枠もない、とても自由なこのアルバムはロキノンでの「陽性のロック」という
Jackson vibeの音楽性を例えた言葉が一番しっくり来るような気もするが
ロックなんてひとつのジャンルに当てはめるのが困難なほど節操なく好き勝手絶頂に音楽が溢れている。
90年代のキラキラポップテイストや、パンチ力のあるストレートなロックナンバーに
ノスタルジアを喚起させ、胸が逸るキラーチューン、そして柔らかくあたたかいバラード。
タワレコのフリー冊子「TOWER」でも評されていたが、
『自分が好きになれるものだったら何でも好き。だから作る音楽もめんどくさいジャンルわけは
いっさいなしで、カッコよくて楽しくて面白いものをどんどん作る』
そのシンプルなスタンスで作られたこのアルバムは、案の定とっちらかっている。
統一感で言えば2ndの方がよほどある。だけど、これは確かに2ndの上をいく作品だと
Jackson vibeの4人は異口同音に「最高傑作」だと言う。それはなぜか。
思えば1stアルバムも非常に幅広いというか節操ないというか振り幅がでかくて
物凄くバラエティに富んでいたアルバムだったけれど、正直模索している感が否めなかった。
だからアルバム全体のまとまりとしては2ndの方が良くできていると私は思っていたのだけど
1stの作品1曲1曲はどれをとっても名曲揃いだった。
今回の「GET ON THE BUS」もものすごくバッラバラな曲たちの集合体なんだけど
1stの時に感じた模索感というか揺れは全く感じない。
ばらばらだけど、1つのアルバムとして成立しているのだ。
スキットやrepriseなんかの小技を使って空気の流れを纏めたことも効果的だったけれど
それ以上に全ての作品に共通して、ブレがない。
『Jackson vibe』なのだと、放つ音にひとかけらの迷いもないような感じがした。
どの曲でも4人のベクトルが同じ方向を綺麗に向いている。
4人の頭の中で全く同じ完成図が描かれていたような、そんな真っ直ぐ通った太い芯があって
このアルバムを1曲も飛ばすことなく聴かせきる強さがある。
また、『4人で奏でてる』感が強いアルバム=ライブに近いものであるということがよくわかる。
音質がどうとかなんて素人耳にはわからないけど、手触りっつか、肌触りっつか、空気が
あの熱いライブハウスに似ている。今までのどの作品よりも、LIVEに近い作品だと思う。
Jackson vibeのライブと言うのは物凄く評価が高くて(自分の知る限りでは)
だからこそCD売れねーよ、みたいなことがあるんだと思っているが
(CDに力を入れてないと言うことじゃなく、CDじゃ物足りない、ライブが楽しいから生で十分という
そんな人が多くなってしまう、ということ。実際自分はCDはレンタルだけどライブは
かなりの回数行ってるバンドがある)
この作品は本当に生々しく、ライブと直結しているような空気を持っているので
あの、ライブでの空気をCDに出したというところに彼等のレベルアップを感じるし
彼等にとっての『良い音楽』はやっぱりこういうものなんだなととても納得した。
アルバム1周の1時間弱は、あっちへ飛ばされこっちへ飛ばされまさに「バスに乗って」
身を任せてしまっているような感覚に陥る。
ただ、それほど振り幅のでかいアルバムなのに聴いていても疲れないのは、1枚の作品としての
統一感や彼等自身の迷いのなさがしっかりと表れているからであり
いい作品だという確かな証拠だ。
そして、聴き終わった後は今までの作品を聴いた後や、彼等のライブに行った時と同じように
胸があたたかくて、とてもハッピーな気持ちが残る。
どんな作品を作っても、それだけは変わることがないからJackson vibeはよいのだ。
っつーことで、明日から1曲ずつレビューします。