思い出した | なんのブログ~んざんかいが~

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どうなることやら・・・

んざんかいが~、島の言葉で「どこ行くの?」です♪

 

私は小5で、弟は小4だった。

「お前の弟、落ちたぞ!」って言われて、行ってみたら弟は寝てた。

その後の記憶はあいまいで、断片的、だった。

数日前、この画像を見るまでは。

 

私の記憶は絵日記タイプで、映像は拙く、時間の経過は感情の流れで再構築される。

あの時こう思ったのは、その前にこれがあったから、そんな感情の記述日記に頼っている。

記述不能なほどの強い感情の場合、絵日記のページが空白になってしまうらしい。

私にはとても珍しいことだけれど、画像であの時の感情が蘇ったようだ。

 

 

 

アルセーヌ・ルパンは大好きだったはずなのに、読み返したことが無かった。

江戸川乱歩も、星新一も同じ頃好きで、読み返したことあるのに。

自分でも不思議だったけど、謎が解けた。

 

窓から転落した弟。血は出てないし、どこもケガしてるように見えなかった。

寝てるとしか思えない、いつもの寝顔だった。

 

救急車が来て、どうやら私は一緒に乗る!と騒いだらしい。

うっすら「子供だからダメ」と言われた様に思い出す。

よく分からないけれど、図書室にいた。

誰か一緒にいて、いくらか世間話ぐらいはしてたように思う。

 

私はルパン全集の背表紙をずっと見ていた。

図書室の、一番お気に入りのコーナー。

「ルパンだったら、こんなとこに閉じ込められたままでなんかいない」

弟のとこに行く!とか言ったように思う。

「お父さんかお母さんが来てから一緒にね」

一人でも行けるのに、子供だと思ってごまかしやがって。

弟が起きたら、ビックリしたよー!って言うんだ。

朝、ケンカしたこと、謝って仲直りはその後でいいよね。

どうして、ここにいなくちゃいけないんだろう。

ルパンだったら、あーしてこーして、華麗に脱走して、好きなところに現れるのに。

 

夕焼けの頃までいたように思う。

 

結局、親は迎えに来なかった。

 

次の記憶は病院で会った父の言葉だ。

 

「弟はもういない。お前はお姉ちゃんなのになんで一緒について行かなかったんだ。」

 

行くって言ったよ!とは言えなかった。

行けなかったんだから。

弟を一人にしたんだから。

弟が動けなくなった時、説明して、守るのは私の役目だったのに。

奇妙な発作を起こす弟と一緒にいるのは、当然のことだったのに。

 

高いところから落ちたなんて、もう生きてないなんて、信じられない、普通の寝顔で弟はいた。

唇の色だけが無かった。赤くもなく、紫でもなく、色の無い唇を覚えている。

 

こういう時は、泣くものらしい、と頭のどこかで考えながら、泣いた気がする。

 

多分、この時、感情とか情動とかのいろんな接続が切れたんだろうな、とは思う。

 

その後、接続を取り戻すべく、いろいろやったんだよなぁとも思う。

 

子供を対等に扱わない大人には、理不尽なくらい腹が立つ。

子供だから分からないだろうって、なめた態度には復讐心が刺激されたんだな。

 

オトナ的事情ってものがあるのは「理解している」が、私の中のあの時のコドモは今も怒ってる。

 

命日に近い日に、この画像を見るなんて偶然が起こるのは、どういうことなんだろうか。