話題がやや遅いものになってしまうが、新年に放送された実験的なふたつの大喜利番組を今頃になって TVer で観ていた。ひとつは1月2日に放送された「AI実験バラエティ シンギュラ」(フジテレビ)という番組だが、この番組内ではふたつの企画が行われ、それらを若林正恭がモニタリングする。ひとつは「脳内大喜利」という生成AIを使った大喜利の企画、もうひとつは「冠代行エーアイ」というもので、永尾柚乃ちゃんの冠番組のMCを「AI永尾柚乃」が代行する。後者の企画には、堀内健、くっきー、神田愛花、山崎夕貴アナが出演した。実験的な大喜利番組というのは前者の「脳内大喜利」である。こちらのMCは伊藤利尋アナが務め、回答者は5名、ヒコロヒー、ロバート秋山、堀内健、真空ジェシカ川北、錦鯉渡辺隆がそれぞれ、大喜利のお題に対し、生成AIで作った画像で回答する。
生成AIで画像を作ったことがないひとには感覚的にわかりにくい部分もあるかもしれないが(私もけして詳しいわけではないですが)、こういう画像を作ってほしいという注文(プロンプト)を言葉で書き込み、画像をどうやら作っている。言葉で説明したものを画像にするのだから、そこにはどうしてもズレが生じる。そのコントロールの効かない部分に想像を超えた面白みが出てくる場合がある。これはAIがいくら進化しようと、言葉を画像に変換するかぎりは生じるズレなのではないだろうか。すると、誤読によって現れたその画像を、回答者が自身の注文とはまた別の言葉で言い表す「写真でひとこと」の笑いにもなってくる。萩本欽一の言葉で言う「フリ」と「コナシ」がここにはあるかのようで、回答者の指示(フリ)をAIがこなし、それをまた回答者がツッコんでいる。
1月12日に放送された「大喜利GIRIGIRI」という番組は司会がハライチ、俳優たちによる大喜利番組で、勝矢、尾上右近、中村ゆりか、白濱亜嵐、三浦翔平が出演していた。俳優たちが自分で考えて回答しているのかと思えば、じつは芸人たちが裏で考えた回答を俳優たちは答えているという仕組みの番組だった。裏にはそれぞれ、トンツカタン森本、中山功太、ふかわりょう、ななまがり森下、蓮見翔がいて、俳優たちとペアを組んでいる。あのちゃんを有名にした「水曜日のダウンタウン」の企画も思い浮かべるが、これはドッキリの要素はなく、俳優たちがイヤホンから受け取った指示のとおりにフリップに書き込み、セリフを発したり、ときには動作もつける。だからこれもAIの大喜利と同じ部分があって、考える作業とそれを回答するまでのあいだに注文(プロンプト)が介在するため、そこにはズレが生じるということになる。回答者にとってはこのズレをどう利用するかという考えかたにもなっていく。
どちらの番組にも共通するのはこれだけのいいメンバーがそろうと、やっている最中に方法論をどんどん見つけていくのだ。番組内の短い時間に進化の過程を見ている面白さもあったのだが、しかしどうだろうか、案外、こういうものは方法論が確立されるまでが面白さの寿命なのではという気もする。以前、まるで試験のような大喜利そのものに対する疑問をこのブログには書いたことがあるが、通常の大喜利が個人戦であるのとは違って、この2番組はそれぞれ、回答者とAI、回答者と俳優との共同作業になるところに遊戯性がある。思いどおりにならないことがすなわち遊戯ではないだろうか。












