
横浜の放送ライブラリーにて、小泉八雲に関する番組はなにかないかと探してみたら、1984年にNHKで放送された「日本の面影」というドラマを見つけた。脚本は山田太一。小泉八雲に同名の著書があるが、それが原作というわけではないようだ。小泉八雲を主人公にした全4回の連続ドラマの1回目だけが放送ライブラリーに収蔵されている。
ドラマは1884年(明治17年)のニューオーリンズから始まる。ニューオーリンズでは万国博覧会が開かれていた。新聞記者だったハーン(ジョージ・チャキリス)は幽霊や迷信に関心があったが、アメリカは万博が開かれるような科学と合理主義の時代になっていた。この科学と合理主義に対する疑いが、ハーンを日本への興味に向かわせるのだが、しかし、この時代背景が「ばけばけ」ではわからなかった。いっぽう、万博に日本から派遣された文部省の官僚たちは西洋化を目指している。
ハーンは白人よりも有色人種の文化に心を惹かれるという描きかたがされてもいるのだが、ハーンは日本の官僚たちと知り合い、服部一三(津川雅彦)に教わった古事記に感銘を受ける。その6年後、1890年にハーンは横浜にやってくる。旅行記を書くための1ヶ月の滞在の予定だったが、ハーンはその契約を破棄し、日本で暮らしたいと考えた。そのため、教師のクチを探し、松江に向かうことになる。古事記に関心があったハーンは出雲の国に惹かれたのだ。
松江に向かう途中に泊まる旅館では、見るものすべてにいちいち反応するハーンに、世話役の青年(三ツ木清隆)が、当たり前のものなのにおかしいと言ってみせる場面がある。ここにも西洋化を目指す日本人とのすれ違いがある。ハーンが松江で初めて迎えた朝の描写は「ばけばけ」にもあったが、これはどうやら「日本の面影」に書かれている描写のようだ。(私は小泉八雲に関しては無知だから、ドラマで描かれている以上のことはまったくわからない。)
松江のひとびとは第1話の終盤になってようやく登場するのだが、小泉セツを演じるのは檀ふみ、松江中学校の教頭先生を小林薫が演じている。旅館の女将は加藤治子、旅館の女中は杉田かおるだ(もちろん、全員41年前のすがたをしている。)。第1話しか観られないのが惜しいが、ウィキペディアによると、このあとには柴田恭兵や伊丹十三やケント・ギルバートが出てくるみたいだ。
「日本の面影」は1話を観ただけでも小泉八雲への関心が私は深まったのだが、しかし、「ばけばけ」はどうだろうか。ある面ではとても面白いドラマだと思って観ているのだけど、あのドラマを観ていて小泉八雲に関心が向かう視聴者がいるのだろうか。そこは致命的な欠陥という気がしている。小泉八雲サイドはどう思っているのだろうかということも心配になってくる。(いや、放送はまだ先が長いからそう決めつけるのは早いのだけれども。)
(展示ホールの「秋の人気番組展」も観てきた。)


