この情報をいったいどこで知ったのかは忘れてしまったが、「国際忍者学会大会」が小田原三の丸ホールで開催されることを知り、これは行ったほうがいいんじゃないかと、ぴんときた私は参加を申し込んだ。私は今まで特に忍者に関心があったわけではないが、私の関心の範疇である古典芸能や民俗芸能、映画や小説に関連するだろうとは思った。しかし、「忍者」はいいけれども、「国際」とはなんだろうか、「学会」とはなにか。
小田原三の丸ホールでは、この日は朝から総会があり、総会は会員のみが参加可なのだが、大会からは一般参加が可能だった。まずは当日のプログラムを記しておこう。
大会・開会の辞
自由発表「「神君伊賀越え」―忍者目線で見えてきた逃走作戦の全容―」 谷和幸(甲賀忍術研究会)
自由発表「甲賀流十四世 藤田西湖の晩年の門弟 斎藤聰伝」 早坂義文(古武道研究会明神館・甲賀武田忍法相伝家)
休憩(55分)
来賓挨拶
基調講演「小田原合戦―小田原城・石垣山城からみる戦国の終焉―」 諏訪間順(小田原城天守閣特別館長)
テーマ発表「風魔忍者の諸相と可能性―逸話・新資料の整理から「和のインテリジェンス」の発信へ―」 甚川浩志(野忍風魔忍術道場主宰・風魔一党指南役)
休憩(5分)
自由発表「初期忍びの概念とその後の変遷」 岩田明広(埼玉県平和資料館)
自由発表「間者の教訓―北条流兵学書を中心に」 中嶋英介(西安外国語大学・東北大学)
自由発表「『小説落第忍者乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』における忍者像」 香月仙空(二松学舎大学院)
引継ぎイベント 次回開催地のご案内
閉会の辞
細かい時刻を記しておくと、開会の辞は10時55分に始まり、閉会の辞は16時25分に終わった。5時間半にも及ぶ長丁場(1時間は休憩)を、私はただひたすら忍者の研究発表を聴いて過ごしていた。
それぞれの研究がいかなるものかを私が説明することは難しいが、歴史から地理から概念から、あるいは古武道から「忍たま乱太郎」の研究まで、ひとくちに忍者といってもさまざまな角度から語られる。今日一日で、忍者に対する私の解像度は飛躍的にあがったといっていい。「忍びの概念」について考える日が私にあるとは今まで思ってもみなかったが、喚起されるものは大いにあった。
持ち時間は基調講演のみが40分、ほかはそれぞれ30分だったが、質疑応答の時間も含まれていて、20分になると司会者が呼び鈴を鳴らし、急かすことになっていた。質疑応答になると、客席にも詳しいひとがごろごろいるという世界だ。私の知識では理解が難しい発表でも、質疑応答によって興味を惹かれるというものもあった。たとえば、最初の発表は「神君伊賀越え」がどのように行われたのかを細かく分析していくものだったが、質問者からは馬に乗って峠を超えることに疑問があがり、このひとは乗馬をするひとだったからその難しさは体験に基づいたものだったが、その時代にはじつは軽トラックが通れるくらいの道が整備されていたそうで、これなんかは質問がなければまるでイメージできなかった部分だ。
最後に、来年は熊本で開催されることが発表された。関東での開催はなかなかないだろうから、やはり、今年は貴重なチャンスだったのだ。
来賓挨拶 忍者議連の牧島かれん議員