いかにもなレトロっぽい写真ですが、これは在タイ中弟が遊びに来た時、ウィマンメーク宮殿に行って撮ったデジカメ写真をこんなふうにプリントアウトしてくれたものです。(映ってるの私ね)
タイドラマを見ていると、レトロっぽい風俗が典雅に描かれてステキだなあと思うものがあります。
1つは、以前ご紹介した『To Sir, with Love (クンチャーイ)』。
このドラマは、1930年代のバンコクが舞台ですね。
(楽天TVで配信中)
そして今見ているのが、『愛の香り ~I Feel You Linger in The Air~』略してIFYLITAです。
昨年くらいから、視聴した方の感動が続々とXに寄せられていて気になっていたのですが、今月、アマプラや楽天TV、FODそのほかで見放題になったので、すでに契約していたアマプラで観始めました。
このドラマは、チェンマイの古い邸宅のリノベーションを請け負った建築家の青年ジョム(チャーノン・サンティナトーンクン Nonkulノンクン)が、1927年の同じお屋敷にタイムスリップして、お屋敷の長男であるヤイさま(クン・ヤイ)(ラピーポン・タップスワン Bright ブライト)と出会い、絆を確かめ合う物語です。
これが、みなさまが次々とクンヤイにおちていくさまを観て来ましたが、全くわかります!
1日1話、毎晩観ていて、もうすぐ観終わります。私にしては早いペース!
主演のおふたりはすでにたくさんのドラマや映画に出てらっしゃるとのことで、とくにヤイさまは、ほんとうに上品で純情なのです
望まぬ政略結婚や、ジョムが現代に帰るかどうかなど、ハラハラする部分もあるとともに、上品なヤイさまが過ごすレトロな生活がとても魅力的です。
川べりのあずまやや、ブルーアンドホワイトの皿に盛られたタイスイーツや、木のおふろおけのまわりに活けられた蘭の花と、浮かぶラントム(プルメリアの花)。
という感じで、タイに行ったら、レトロな美が楽しめる観光スポットとして、先にあげたウィマンメーク宮殿をご紹介しようと思ったのですが、なんと、コロナ禍前から、工事中とのことで、壁がめぐらされ、入場できなくなっているそう。
この宮殿は、ラーマ5世のための、すべてチーク材でくぎを使わず建てられた宮殿だそうで、当時も、英語かタイ語のガイドさんによるツァーでしか観られませんでしたが、いよいよ補強が必要になったのかもしれません・・・
しかし、こちらのBANGKOK NAVIサイト(クリックください)で、館内の美しい調度品や室内がたくさん見られます。
また、このサイトの同じページにもあるように、庭内にはほかにも小さいミュージアムがいくつかあって、そちらも楽しめたのです。
今開館されていなくて、ほんとうに残念です!
このウィマンメーク宮殿が好きで、3回くらい、別々の友人や家族と行ったくらいなんですが、当時在タイ中、読んでいたのがここの本、
『王朝四代記』です。
なんと全5巻!
書かれたのは、首相もつとめられたこともある、ククリット・プラモート。
この物語は、ラーマ5世時代から、8世時代まで4代にわたる王様の後宮に仕えた女性が主人公なんですが、まるで
「タイの源氏物語」!
とてもおもしろかったのです。
なにしろ、ククリットさんも王族ですから、王室内の描写はおてのもの。
当時の女性たちのアクセサリー集めやお化粧など、こまごましたことが書いてあるのです。
中で、ついたてに写真を貼って装飾するというシーンがあったのですが、このウィマンメーク宮殿の中に、そのような、
セピア色の家族写真を張り付けたついたて
があったから、これかー!って実物が観られてうれしく思いました。
この本、タイにいた時、アソークのサミットタワー内にある、国際交流基金バンコク日本文化センターの図書館で借りて読んだのです。
当時は目もよかったし(笑)日本語の本は貴重だったので、読むことができました。
お時間のあるタイ好きな方はぜひ
もっとかんたんにすぐ読めるのが、
『お祖母さんの木の遺産』です。
原作はこちら。
古き良きタイの生活がエッセイふうに短い章立てで描かれていて、タイの国語の副読本にもなったそうですが、その中からいくつか選んで、タイに駐在されてタイ語を習われていた奥さま3人が翻訳されたそうです。
ということで、↑のドラマとともに、おすすめします。
さて、『クンチャーイ』や『愛の香り』の時代、タイはどんな時代だったのでしょう。
タイ文学の大先生宇戸清治先生の『タイ文学を味わう』によりますと(宇戸先生のタイ文学の講座に市民聴講したとき、コピーを全学生がいただけたという太っ腹、つまり学恩を得たということです)(かなり中略しています)
「タイ文学が近代文学への歩みを加速させていた1920年代、タイは世界の経済恐慌に巻き込まれました」
「絶対王政下の官僚機構の中枢部には西洋留学帰りの新エリート層が進出しつつありました」
「1932年についに絶対王政を打倒し、立憲君主制を樹立しました」
(注・ラーマ7世の時代です)
「タイ人にとっては目新しい政治指導原理でもある西欧民主主義やヒューマニズム、自由と平等などの概念が庶民にもたらされたことには大きな意義がありました」
ということで、社会の不平等に目を向けたり、新興ブルジョワ層が台頭したりということもあったそうで、この二つのタイドラマにもそれが反映されているように思います。
国際交流基金バンコク日本文化センターの図書館について、ぷくこさんのブログのご紹介がありました。
『お祖母さんの木の遺産』については、私のブログでもっとくわしくご紹介しています。