『Love Beyond Frontier』に出てきた『マノーラー』 | タイの子どもの本日記

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タイの絵本や子どもの本、タイの文化などについてぽちぽちと書いていきます。もと日本人会バンコク子ども図書館ボランティア。ご質問などはメッセージにお寄せください。

 

この写真は、タイのエメラルド寺院にある、タイの伝説上の存在、半人半鳥のキンナラです。

男性はキンノーン、女性はキンナリーといいます。

 

このキンナリーがヒロインで、昔からタイで舞踊や影絵の形で伝わった古典物語に『マノーラー』というのがありますが・・・

 

今BSテレビ朝日で放送中の、タイドラマ

 

『Love Beyond Frontier』

 

を観ているときにびっくりしました!びっくり

 

このドラマは、川沿いの美しいゲストハウスに住んでいる若い男女のラブコメディと母親さがしの物語です。(BLではありません)

そのゲストハウスのただ一人のスタッフのプーさんは、ドラマのコメディリリーフで、いつもおもしろいことをします。

そのプーさんが、第7話でゲストハウスの宣伝動画をとるために、なんと!

タイ舞踊の衣装に身を包み、『マノーラー』を演じるシーンがありました。

 

こちらのBS朝日の公式サイトの第7話紹介の3枚目の写真にそのいでたちがあります!(こちらをクリックください)

 

そこで、『マノーラー』は絵本もたくさん出ているようなので、その表紙画像から物語のあらすじを紹介しますね。

 

タイでは、『ストン王子とマノーラー』という題名です。

 

ある日猟師が森の池で、美しいキンナリーたちが羽根を脱いで水遊びをしているのを見かけます。

猟師は一番美しいキンナリーをつかまえて王子に献上しようとします。

猟師は以前竜の王様に恩をほどこしたので、龍の網を貸してもらって、キンナリーのマノーラー姫をとらえます。

 

マノーラー姫はストン王子に献上され、羽根は隠されますが、二人は仲の良い夫婦になりました。

ところが、ストン王子が戦に出て留守の間、マノーラーをいけにえに殺そうという話が出てきます。

マノーラー姫は最後に舞を舞いたいから羽根を返してほしいと言って、羽根をつけるや、キンナリーの国に飛び去ってしまいます。

 

帰還したストン王子はマノーラーをさがして、長い苦難の旅の末キンナリーの国にたどりつきます。

水汲みをしていた召使のキンナリーの水がめに、自分の指輪を落とし込んで、マノーラー姫に自分が来たことを伝えます。

 

 

キンナリー国の王様は、そっくりのキンナリーを並べて、マノーラー姫を正しく当てたら、結婚を許そうと言います。

マノーラー姫は水がめから拾った指輪をはめていたので、ストン王子は無事に当てて、幸せに暮らしました。

このお話は「天女の羽衣」のパターンで、世界中にいろいろな形で見られる昔話ですね。

 

このお話の詳しい訳は、いつも使っている『タイ国古典文学名作選』におさめられています。

 

その解説を読んで・・・またまたびっくり!!びっくりびっくりびっくり

 

『マノーラー』はアユタヤー時代後期(1732-1767)に、

「男性ばかりで演じていた」宮外劇だそう。

 

南タイの人々が、ジャワ伝来の影絵芝居「ナン・タルン」とともに

 

「この芝居を熱狂的に愛し今に伝えている独特な芝居である」

 

「南タイのある地方ではノーラー(マノーラー)劇の芝居ができない男には嫁の来てがないと言われるほど」びっくりびっくりびっくりびっくりびっくり

 

なんだそうです!

 

つまり、男性のプーさんがマノーラーを踊るのは、、お笑いでもなんでもない、正統派のものだったのです!!爆  笑爆  笑爆  笑

 

影絵芝居マノーラーの本もありましたよ。

 

 

この『マノーラー』は、子ども向けの日本の本にも、ごく簡略化されたものが

『世界むかし話(東南アジア編) 』など、アジアやタイの昔話の本におさめられています。

 

この本のイラストは、タイの画家・児童文学作家のテープシリ・スクソーバーさんが描いていて、中にキンナリーの色付きイラストもあります。

くわしいことは、このブログで、テープシリさんの日本語に翻訳された児童文学

『沼のほとりの子どもたち』(こちらをクリックください)

で紹介していますので、ご興味のある方はごらんになってくださいね。

 

また、タイの影絵「ナン・タルン」について、日本語の短い紹介動画をブログのこちらで紹介しています。

 

なお、『Love Beyond Frontier』はTverで無料で見られます!

こちらから

プーさんの『マノーラー』は第7話20分くらいからごらんになれますよラブ

 

紹介した本の詳細はこちらをごらんください。