日本武道館前で開催されたロシア連邦民族・伝統武道団交流演武会を見学してきました。
日本武道館とロシア武道連盟による開催で、PRIDE等で活躍し、現在ロシアスポーツ省特別補佐官をつとめるヒョードル・エメリヤネンコ氏が随行するとのこと。
僕や多くの格闘技ファンはヒョードル氏目当てで集まったと思うのですが、そんなミーハーな僕も演武の数々や、初めて知る武術に魅了されました。
非常に面白かったです。

サンボ
ロシアの格闘技として、日本でも非常に有名。
柔道とレスリングを足したような外貌ですが、多彩な関節技があります。
また、打撃を加えた総合格闘技コンバットサンボも演武に取り入れていました。
出演者には女性もいました。

ハプサガイ
サンボ以外の武術は、おそらく僕を含め、ほとんどの参加者が名前すら初めて知ったものばかりだったと思います。
こちらはロシア北東地帯に住むチュルク系少数民族ヤクート族の伝統武術。
民族レスリングという感じです。
彼らの肉体の厚いこと!
近年モンゴル民族の強さが話題ですが、彼らの肉体的資質も凄そうでした。
また、民族衣装がものすごく素晴らしいデザインなんです。
さらに、マスレスリングというものを公開していました。
これはお互いの間に板を置いてすわりこみ、一本の棒を横にして二人で握り合い、これを押し合い・いなして相手を崩せば勝ち。
武術というか、腕相撲のような感じでしょうか。
シンプルでルールがすぐ覚えられるにも関わらず奥が深そうでした。
演武のあと、各ブースごとに行われた体験会では日本人参加者同士の即席大会が開催され、たいへん盛況でした。
言語を超えてどの民族でも楽しめる普遍性があり、特別な設備も必要ない、すぐれた競技だと感じました。
世界大会も開かれるそうです。

天道流薙刀術
日本武術の演武もありました。
こちらの写真の二人の女性、左は安倍晋三首相の明恵夫人。
右は故橋本龍太郎元首相夫人です。
他の門下生のみなさんによる、集団の演武もありました。

コレッシュ
タタール人が住むタタルスタン共和国のレスリング系武術。
道着には帯があり、これをつかみ合った状態から攻防するのが特徴です。
そのため、一見すると服を着てする相撲のように見えます。
相手の足(体)がしっかりマットから離れた状態での投げを有効としており、足払いなどコカす技は有効にならないというか最初から禁止されています。
このため、かなり豪快な投げ技が決まります。
これも国際的な競技会が開かれており、さらに普及するつもりのようです。

コサック武術
戦う民族・コサックの人々の武術は武器が多くのウェイトを占めていました。
今回は剣、鞭、こん棒、ナイフ、少しだけ素手の技術の演武でした。
剣と鞭は8の字を描く軌道と、回転しながらの用法に特徴が感じられました。
僕は武器は門外漢なのですが、カリの嘉陽与南先生ならおそらく見るところが違っていたと思います。

こちらは、展示された武器の数々。

コサックの人々は若者が中心で、洋服を来てしまえば普通のヨーロピアンと言った柔和な方が多かったのですが、お一人だけ本の挿絵から飛び出してきたようなルックスの年長者がおり、見とれてしまいました。
刈り整えたヒゲ、するどい目つき、まさにロシアの昔話に登場するコサックそのもの。
立ち振る舞いにも若い参加者にはない威厳と風格、戦士らしい張りつめた重さがあり、カッコ良かったです。

さて、多くのファンが待ちかねたヒョードル氏。
二部の演武会のあと握手会が行われ、サイン入りブロマイドが配られたほか、合間合間にサインに応じていました。
僕もいただきました。
PRIDEブームを牽引した大スターだけにファンの熱も高く、感極まった参加者もいらっしゃいました。

奥の美しい女性は、パラリンピックの水泳メダリストです。
実は左腕がありません。

中央、バラチンスキー・スレン氏。
ヒョードル氏も歯が立たなかった「正真正銘のサンボ世界王者」。
前田日明氏の大推薦でリングスKOKにも参戦しました。
当時、雑誌に載った写真に、大いに幻想が高まりました。
武道団の一員として来日していたんですね。