私の住む自治体の市議会議員でトンデモな人(男性)がいて、

「ウチの自治体は女性の向けのシェルターばかりつくって女性ばかり優遇されている。これは男性差別だ」などと平気で発言している。ジェンダーギャップ指数は意味がないとか。

彼にはこの本の第3章、

「女子枠は男性差別だ、と考える男の子たちに対してどう説明すべきか」をぜひ読んでもらいたい。

 

…とまあこの本ではこんな具合に、

性差別が根強く残る日本で、男の子を育てる際に、

こんなこと言われたらどうする?どう対応する?といった事例が対談形式で紹介されている。

対談しているのは、弁護士の太田啓子さんと男性学研究者の田中俊之さん。

太田さんの本は「これからの男の子たちへ」が非常に良く、こちらでも紹介している。

 

 

 

ウチの自治体のトンデモ議員はともかくとして、

世の中にはジェンダーバイアスがしぶとく残っている。

 

たとえば、女の子に対して「男の子と同じようにしなさい」、というのはわかりやすいし

比較的言いやすいが、逆に男の子に、「女の子と同じようにしなさい」と伝えて

抵抗なく受け入れてもらえるかどうか。

男の子に言ってしまいがちな「競争に勝ち抜け」「上を目指せ」という言葉を

女の子に言うことはできたとしても、では男の子に「競争なんてしなくていい、

協調性を持て。まわりと仲良くしてみんなから愛されろ」と言えるのか。

 

また、太田さんの知人の話として、

息子を名門中学校に入れた母親が、

「将来息子の相手は、息子を支えてくれる女性がよい」と発言し、

「社会全体のジェンダー平等よりうちの息子の人生の方が大事!」という空気を

醸し出している人もまだまだいる、という現状を紹介している。

 

ジェンダーバイアスのない社会は、女性だけでなく、男性にも生きやすい社会。

親も変革を恐れない勇気と社会を変えていこうという気概が必要、と説く。

 

本当にそのとおり、と思う。

自分がジェンダーバイアスまみれであることをまずは自覚することが大事。

 

そして、ジェンダー平等を考えるということは、

生き方の多様性を考えることにもつながるのだろう。

このブログではしつこく自分の学歴偏重主義を反省しているが、

この本でもなるほどと思う記述が。

太田さんは「いい大学に進学したらその先は慣性の法則のように順調に進んでいける」と刷り込まれて育ったが、大学卒業後のほうが人生は長いのだから、それは誤りだと気づいたんだそう。

慣性の法則!うまいこと言うなあ。

性差別から解き放たれたら学歴差別からも解き放たれる…のだといいなあ。

 

この本の最後に、

ジェンダーレスについて楽しく学べるエンタメとして、

私も大好きな韓流ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」

紹介されていて、そうそう!と思った。

ウ・ヨンウ弁護士は、ものすごく優秀なのだけれど、自閉症スペクトラム障害がある。

1話完結で、毎回、ジェンダーについて考えさせられる内容があり、たとえば彼女の所属する弁護士事務所の代表がキレッキレの女性だったり、男性事務スタッフが彼女を親身になって支えたり。ライバル事務所の代表もこれまた女性。このドラマに浸っているだけで何かしら感じるものはあるはずだ。

あとは、映画「バービー」を強く推していた。これ注目されてたし見ないと!