翻訳あれこれ | ドリアン長野の読書三昧

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村岡花子が「赤毛のアン」の中でbosom friendを「腹心の友」と訳したのは名訳だと思う。bosomは胸のことだから。

昔、ドアーズの対訳を柳瀬尚紀がしていたのには驚いた。彼は邦訳不可能だと言われていたジョイスの「フィネガンズウェイク」を完訳した翻訳家だ。

SF作家で翻訳家で音楽評論家の鏡明、初期は岡田英明名義で仕事をしていた。彼が対訳したテレヴィジョンの「glory」の冒頭、

I was out stumbling in the rain staring at your lips so red.

「よろめき出ると、雨。なんて赤いあなたの唇」

今でも忘れられない名訳。