大型連休、いかがお過ごしでしょうか??
今回は、去る4月27日(日)に神楽会館(清川町)で行われた定期公演の模様をご紹介いたします!
ご承知のとおり、神楽会館では毎月1回、定期公演が行われております。
豊後大野市で盛んな神楽を紹介いたします!(ただし、同じ市内でも系統が異なることも…!?)
今回の出演団体は、以下の2団体です。


2団体を簡単に紹介いたします!
(※以下、団体や演目の紹介は、公演当日に配布された神楽会館資料を参考にしております。)

三重町上田原(かみたわら)地区の御手洗神社に伝わる神楽です。
3年に1度、この御手洗神社の霜月祭で、「湯立神楽」が奉納されることで有名です。
この湯立神楽、臼杵系三輪流神楽、御嶽流獅子舞を継承する団体が「上田原伝統芸能保存会」です。

平成16年結成と若さ溢れる神楽社です。
もともと、三重高校神楽部の卒業生が集い、活動を始めたことがきっかけとのこと。
楽員も20代中心と若いこと&女性が多いことが特徴。
宮付き神楽座とは異なる魅力を持ちつつも、千歳町の浅草流大木神楽の指導を受け伝統を継承されております。
今回の2団体、面白い組み合わせなのです!
実は、系統が異なる2団体です!
流派より上位レベル(=大もと)が異なっており、神楽の雰囲気も大きく異なります。
上田原さんは、臼杵系の神楽です。豊後大野市ではかなりの少数派です。
神事的な神楽で、質素さや荘厳さを感じられます。
一方、すずかけさんは、大野系の神楽です。豊後大野市では一般的な神楽系です。
演劇的・物語的な神楽(=岩戸神楽)で、勇壮的です。
豊後大野市で大野系と臼杵系とがあるのは、おそらく藩の影響でしょうか。
現在の豊後大野市大部分が岡藩領(大野系)、三重町などが臼杵藩領(臼杵系)でしたので。
こうした系統の異なる2団体を一緒に鑑賞できるのも、神楽会館定期公演の醍醐味です!
今回、系統の違いに注目しながら鑑賞すると面白いですよ

【今回の演目表】
(1)上田原「正護」
(2)すずかけ「五穀舞」
(3)上田原「柴引荒神」
(4)すずかけ「天皇位」
それでは、各演目をなるべくわかりやすくご紹介いたします

(1)上田原「正護(しょうご)」
地の神を和め五穀豊穣を祈る演目です。
刀や鈴を持って舞います。こうした、道具(刀・幣など)を持って舞う神楽を「採り物神楽」と呼びます。
▽神事的とあってか、上田原さんの補佐神は神主風な衣装(烏帽子・狩衣)を纏われます。

▽刀を持ってエイッ!地の神様を鎮めているのでしょうか?

周回運動と座移りで構成されており、神事的な演目でした!
(2)すずかけ「五穀舞(ごこくまい)」
日本神話に基づく演目です。こうした日本神話に基づく神楽を、「岩戸神楽」と呼びます。
神々の世界(=高天原)を追い出されたスサノオノミコト。
ある時、八百万の神々に食べ物を差し出すオオゲツヒメノカミ(保食神)に出会いました。
保食神をよく観察すると、食べ物はなんと鼻・口・尻といった体の穴穴から取り出していました。
この光景を汚らわしいと思ったスサノオは、なんと保食神を切り殺します。
▽スサノオ「悪しきかな~」と、不快感を露に。そして、保食神を刀で斬り殺す場面。

さあ、斬り殺された保食神。
その遺体をよく見ると、体の所々から五穀等が発生。
その五穀を農作物の種として、田畑に撒いたいう物語です。
▽五穀(現在ではお菓子やお餅)が撒かれます!
すずかけさんは、女性楽員が頑張っております!


五穀を撒く際は、会場が大いに沸きます!今回は補佐神が会場内を練り歩き撒きました。
(3)上田原「柴引荒神」
素朴でおとなしめな上田原さんの演目の中でも、珍しく荒々しいといわれる舞です。
荒神という赤い顔の神様が登場します!
柴(榊)を観客と引きあい交流があるため、人気の高い演目です。
もともと臼杵系三輪流神楽では、着面の演目はなかったそうです。
岩戸系神楽との接点の中で取り入れたのではといわれています。
▽荒神(こうじん)

▽今回は2人立。会場で大暴れっ!(笑)

▽女の子とハイタッチしたり…

▽一方が柴引きしているところを、他方がじっくり観戦したり…

▽司会者と相撲したり…

▽荒神同士でけんかしたり…

…大いに会場が沸いた演目でした☆
(4)すずかけ「天皇位」
国譲りの日本神話に関する演目です。
太陽神で、神の中の神と讃えられるアマテラスノオオミコト。
彼女は、人間たちの住む世界(=葦原中つ国)を私に譲ってほしいと願います。
そこで、タケミカヅチノカミとフツヌシノカミを遣わせ、葦原中つ国を治める大国主命に談判します。
▽談判なう

大国主命は、息子の事代主命と相談し、葦原中つ国をアマテラスノオオミカミに譲ることとなりました。
▽大国主命。なぜか道化者(笑)
通称「チャル」(=足が速い者)と呼ばれます。

▽チャルもまた、司会者と交流♪

▽そして、太鼓も叩く!そして、うまい!

▽一方、太鼓叩きは舞を奉納!

▽国譲りの交渉も終わり、退場(=「帰りは」)。チャルも狂喜乱舞!?(笑)

…と、これまた賑やかな演目でした!
…以上が、今回の定期公演の模様でした!
系統が異なる2団体の舞、いかがでしたか??
各神楽座に味があり、これも文化の面白いところです☆
また、2団体とも、若手が頑張っております!
伝統芸能が着実に継承されている印象です。
さて、次回の神楽会館定期公演のお知らせです!
○日時:5月18日(日)13時~16時
○団体:黒松神楽(犬飼町・浅草流)、宇目神楽保存会(佐伯市宇目・御嶽流)
※詳細は神楽会館HPにて→http://www.bungo-ohno.jp/kagura/
この日も、異なる流派、異なる市同士の神楽を一緒に鑑賞できるのでおもしろそうですね

なお、佐伯市宇目はかつて岡藩領だったためか、大野系神楽を継承されております。
以上、神楽会館定期公演の模様でした☆
最後まで読んでくださりありがとうございましたm(__)m
よい大型連休を~☆