去年の夏、たまには怪談でも読んでみようと思っていたらちょうど面白そうな本が
あったので手に取ってみたのを忘れていました。
表紙にあるように、夢野久作から江戸川乱歩まで、12作家による13作品が収め
られているのはいいのですが、「これが怪談?」と思うような作品が結構あるので
ちょっと期待外れでした。
例えば江戸川乱歩は「鏡地獄」が収められていますが、「人間椅子」の方がよほど
怪談っぽくないかなあ。小泉八雲の「耳無芳一の話」も、確かに怪談には違いない
といえ、「怖さや怪しさ」はそれほどでもないような…。
小酒井不木の「死体蝋燭」とか谷崎潤一郎の「人面疽」あたりはいい感じでしたが
あえてこの本で読む必然性は感じません。青空文庫などで無料でアクセスできると
思うので、そこから読むのでもよいでしょう。逆にいうと、著作権が切れた名作を
適当に「怪談」という括りで集めて発行しているだけの本なんでしょうね。