いろいろな分野で活躍されている荒俣氏による「科学史」の本です。もともと氏が
ドイツの科学博物館とアメリカの科学博物館を渡り歩いた内容をまとめた探訪記が
あったそうですが、それをブルーバックス化したもののようです。
なのでタイトルには「異人伝」とありますが、人はあくまでもおまけで 19 世紀の
ドイツ、20 世紀のアメリカという2つの大国がどういう思惑で科学を発展させて
きたか、その中で科学者はどう奮闘してきたかをわかりやすくまとめています。
その辺のブルーバックスと違って文章量が多くかつ文体も難しいので、慣れるまで
最初は読みづらい気がしましたが、読んでいくとどんどん引き込まれてさらさらと
読み進められました。
荒俣氏が設定した視点から科学や科学者を語っているので、ときどき無理やり感が
あるところもありますが、氏による解釈だと理解した上で読めば「そういう視点も
あるのか」と視点を広げてくれる助けになるでしょう。