集合論は現代数学の基礎理論となっています。集合とは素朴にはモノの
集まりなのですが、素朴すぎるとラッセルのパラドックスなどを引き起こす
ことがわかり、改めて公理に基づいた集合論が作られました。
すべtの数学の基礎になっているため、抽象的で無味乾燥になりがちな
ところがありますが、この本では発展の過程を追うことで、なぜ数学者は
このようなものを考えてきたのかの物語を示そうとしています。
前書きにもあるようにこの本を読んだからといって集合や位相の基礎が
身につくわけではありませんが、トポロジーの面白さはかいま見える気が
します。具体的には、平面と直線の点の濃度は等しいが位相的には別と
いう話が面白い。写像が連結か連結でないかで区別できるのはわかって
しまえば当たり前ですが、目からウロコです。
ルベーグ積分や確率論も触れられていますが、ページ数の関係でかなり
はしょられているので、どうせなら集合や位相の深い話がもっとあっても
よかったかもしれません。とはいえなかなか読みやすくおススメです。
「集合と位相」をなぜ学ぶのか ― 数学の基礎として根づくまでの歴史
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