歪みのないシンメトリーな体があって完璧だと共同幻想を私たちは共有している。しかし、こうした身体観は私たちにとっては実は苦しいもので、ケガなどで体が壊れる要因にもなっています。
自然界はアシンメトリーが普通です。真四角で左右の長さがピッタリ揃っているものなど存在しません。実際、身体においても内臓の位置には偏りがあります。微細に観ると左右はまったく異なります。
自分の身体を観察できるようになるとシンメトリーに体を揃えて動くとキツくなることもわかり始める。左右を動きに合わせてずらした方が腰が揃います。そもそもアシンメトリックにバランスが取れているので、その偏りに従ってずれて行くと自然とバランスが取れて揃うのです。
でも、そういう話を聞いてわざと左右に違いをつけて動いてしまうと、それは意識的な造作をした動作になるわけで、やはり気を向けていくしかない。
それと、現代人は暮らしの中で気持ちや気を上にあげ、肩に力や力感が生じるような身体への集注観が普通になっています。また、「気をつけ」など気と血が頭にあがる姿勢を良しとする習慣が身についているため、普段から気逆の状態からにあります。頭と首が体に馴染んでいる感じがせず詰まってしまう。
多くの情報にアクセスし、複雑な社会形態を生きながら時間に追われるような現代の生活とまったく違う、一昔前の時代の身体にアクセスし、低速の体を持てた時代遅れの身体観へアクセスでき、さかのぼれた人達が名人や達人と呼ばれている。
HAPPY