風の街 2 | 白玉猫のねむねむ日記

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平凡な日々のなかで、ふと、胸をかすめていった思いや、感じたこと、旅行記、本や映画のレビュー、時には、詩やエッセイのようなものを、書いています♪

ブログが外の世界に繋がる橋になるといいな☆彡

昨日、昔、住んだことのある

街を訪ねてみた。  


(本文と写真は無関係です)


用事があったからじゃなく、

ただの酔狂・・・




よりによって、こんな寒い日に

センチメンタル・ジャーニー

(苦笑)⛄️








その街は

人口はそこそこあるのに

全国区のニュースに

1度も名前が上がったことがない

無名の街

目立たない街



でも、その実、

住人しか知らないことだけど

その街は     

アジア大陸の

いろんな国の

いろんな地方の言葉が

飛び交う

そう、まるで無国籍地帯・・・





その街に住んでいた短い間

異邦人にまぎれて

わたしも、異邦人のような顔をして

暮らしていた




知ってるかい?


異邦人は

とても優しい人種だということを・・・

 



彼らは

控え目で内気


問わず、語らず・・・

それでいて

とてもフレンドリー

とても親切




脛の傷・・・

お互い

見ないよう

見せないよう

譲り合う


怪しくても

偽りでも

あの穏やかさが好きだった





怪しさなら

お隣さんがMAXだった

なにせお隣は・・・


週間ごとに

住人が

入れ替わっていたのだから⁉︎







若いカップルがいた時は、

朝、ベランダに出ると

コーヒーの香りがした。



初老の姉妹がいた時は

朝昼晩と1日3回食事の度に

ニンニクと油のにおいがした。


夕ご飯時はそんなに

気にならないけれど

朝はさすがに

うんざりしたものだ。



まだ若い夫婦と

赤ちゃんがいたときもある。


廊下で、マイクロミニの母親に

抱っこされた赤ん坊の

利かん気な顔を見たとき、


日夜、壁越しに漏れてくる

やけに威張った泣き方と、

生後1年にもならないくせに

強面ふうな顔つきがピッタリで、

思わず笑ってしまったこともある。






脛に傷を持つ異邦人たち


目立たぬよう

波風立てぬよう

遠慮しながら

暮らす彼らは


その善悪は知らないけれど

わたしには

良き隣人だった

 





だが、昨日、

メトロに乗り、電車に乗り換え

探しに行ったのに

足が棒になっただけで

あの街は、見つからなかった。



駅前のロータリーの

意味不明なモニュメントや

郵便ポスト📮は、

変わらず立っているのに


路地を幾つも曲がっても

辻を行ったりきたり、うろついても

あの街には

行きつけなかった。

あの一画は消えていた。



無国籍の不思議な街は

風に吹かれ

風に乗り

何処かへ、去ってしまったのか・・・



怪しくて、優しかった

異邦人も消え

今では、遠い風の中



コロナが消した

風の街



束の間、わたしが暮らした

幻の街