「木挽町の仇討ち」
直木賞と山本周五郎賞をダブル受賞した永井紗耶子の同名小説を映画化。
ストーリーを白玉猫流にまとめてみました。
_φ( ̄ー ̄ )
【起】(美少年菊之助のあだ討ち)
江戸の芝居小屋「森田座」のすぐ裏地で、
伊納菊之助(長尾謙杜)が、父親 清左衛門(山口 馬木也)を殺した 博徒 作兵衛 (北村一輝)を討ち取る。
大観衆が見守る中での、美少年のあだ討ちとあって、大評判になる。
【承】 (加瀬菊之助の聞き込み)
1年後、伊納菊之助の婚約者の兄だと名乗る、田舎侍、加瀬総一郎(柄本佑)が森田座を訪ねてくる。
総一郎は、持ち前の人たらしぶりを発揮し、木戸芸者(一八/瀬戸康史)・殺陣師(相良与三郎/滝藤賢一)・衣装方(芳澤ほたる/高橋和也)・小道具方(久蔵/正名僕蔵)らに、あだ討ちのことを根掘り葉掘り聞いてまわる。
⚠️以下、ネタバレ注意
【転】(明かされる真相)
狂言作者(篠田金治/渡辺謙)が上方から帰ってきたことで、物語は一気に核心に迫る。
篠田金治は加瀬総一郎を、伊納家側の味方と見込んで、全てを話す。
金治は美濃遠山藩の出身で
侍の身分を捨てる前は、
菊之助の母親とは許嫁の関係にあった。
その縁で、菊之助は森田座の金治を訪ねる。
金治は菊之助を見て、
菊之助と作兵衛を守ることを決意し、
ひとつの狂言を書く。
それは森田座の仲間にも協力してもらい
小道具方(久蔵/正名僕蔵)に本物そっくりの生首を作らせ、それで世間を欺き、
作兵衛を生かしたまま、
仇討ちを成立させるという、
荒唐無稽なものだったが、
菊之助も作兵衛も見事に演じきった。
⚠️さらに、ネタバレ注意
金治たちの優しい嘘に驚き、深い感謝の念を覚えつつ、加瀬総一郎もまた、美濃遠山藩の内情を含め、全てを語った。
菊之助の父・清左衛門は
藩の不正を暴くために、加瀬総一郎と共に隠密に証拠を探していた。
しかし、帳簿を証拠として差し出してくれた商人が敵側に捕まり、拷問されたあげく、死体を吊るされる。
全ては敵側の知るところになったと察した清左衛門は、窮余の一策を思いつく。
それは、自らの命と、忠義者の下男の命を犠牲に、伊納家を救い、
証拠の帳簿を敵から守るという、
究極の選択だった。
しかし、他に妙案はなく、策は実行され、
清左衛門の読み通りとなった。
金治の話しと、加瀬総一郎の話しは、
ぴたりと符号し、
こうして全ての真相が明らかになった。
【結 (結末) 】
森田座の人々の「優しい嘘」
作兵衛の忠義
菊之助と作兵衛の深い絆
清左衛門の無念
さまざまな思いを胸に
加瀬総一郎は森田座の地下に匿われていた
作兵衛に会い、証拠の帳簿を受け取る。
そして、映画はラスト、美濃遠山藩の大名行列へ。
若き美濃遠山藩の藩主、遠山安房守は
不意に、森田座の前を通るよう、行列の進路を変更させる。
そして森田座の前まで来ると、籠から降り
一座の皆に労いの言葉をかける。
とくに、作兵衛を見る安房守の目には、深い感謝の念が込められていた。
そんな藩主の側に、加瀬総一郎の姿があったことはいうまでもない。
以上、ストーリー終わり。
m(_ _)m
浮世の酸いも甘いも舐め尽くしたような森田座の人々が、菊之助と作兵衛にかけた人情。
加瀬総一郎のひとたらしぶり。
伊納菊之助の素直さ、初々しさ。
見どころはたくさんあり、
安っぽい勧善懲悪時代劇とは一線を描く、傑作映画でした。
大団円と言える幕引きには
やや出来過ぎの感もありますが、
その分、あと味はよく、
観る人を選ばない、広く愛される映画ではないかなぁ?
わたしも好きな映画が、また1つ増えました。![]()
![]()
特に心に残ったのは、
菊之助と作兵衛が
木挽町のあだ討ち場所に向かうシーンです。
町娘に女装した菊之助(長尾謙杜)の、はっと息をのむような可憐な美貌
それに呼応するかのように、
遊び人に扮した作兵衛(北村一輝)の
「色悪」という言葉でしかいい表せない、凄みのある魅力
金治の書いた狂言ながら・・・
それはもう、見事な「道行 (みちゆき)」 で
すっかり心を奪われました。
![]()
![]()


