白玉猫のねむねむ日記

白玉猫のねむねむ日記

平凡な日々のなかで、ふと、胸をかすめていった思いや、感じたこと、旅行記、本や映画のレビュー、時には、詩やエッセイのようなものを、書いています♪

ブログが外の世界に繋がる橋になるといいな☆彡





愛を失った男
愛を見限った女
愛を知らない少女

それぞれの痛みと向き合いながら
彼らは夏の砂のように乾き切った心に
小さな希望の芽を見つけていく





キャスト


小浦 治 / オダギリ ジョー
坂の途中にある一軒家に暮らしている。


治の姪・川上 優子/ 髙石 あかり
阿佐子の17歳の娘。学校へ行かず、スーパーでアルバイトをはじめる。


治の妻・小浦 恵子/ 松 たか子
息子を亡くしてから、治との生活にやりきれない思いを抱き別居している。


治の職場の元同僚・陣野 航平 / 森山 直太朗
治と同じ造船所で働いていた。治の不甲斐なさから、治の妻・恵子に寄り添っていたが…。



優子のアルバイト先の先輩・立山 孝太郎 / 高橋 文哉
長崎の大学に通い、東京からきた優子を何かと気にかける。


治の職場の元同僚・持田 隆信 / 光石 研 
治と同じ造船所で働いていた。現在はタクシーの運転手をしている。






ストーリー

【起】(設定)
息子を亡くしたショックから、妻と別居。
長年働いていた造船会社が閉鎖。
家庭と仕事を失い、腑抜けになり、ただ生きているだけの治(オダギリジョー)。

【承】(展開)
そこに、同じく孤独な姪の優子(髙石あかり)がやってきて、治の家で暮らし始める。

【転】(事件・転機)
  • 正式に妻と離婚。 
  • ようやく始めた新しい仕事で大怪我をして指を3本、失う。治にとって、それは、溶接工としてのキャリアが完全に終わったということでもあった。
  • せっかく心が通い合ったのも束の間、優子は母親の元へ帰ることになる。

こうして治は、人生の大半を失った。

【結】(結末)

優子は別れ際に、治に麦わら帽子を渡す。優子なりに万感込めた、別れの挨拶だったのかもしれない。
多くのものを失い、治はようやく過去に区切りをつけることができたのだろうか。
ラストシーンでは、いくらかスッキリした顔つきをしているように見えた。



感想


不幸と不運が続き、人生を投げ出したように見える主人公、治(オダギリジョー)
そんな治に見切りをつけた妻(松たか子) 



治も、妻も、倒産した造船会社の同僚たちも、登場人物は皆、苦労人だ。

そんな苦労続きの人たちの、
心の機微や痛みを、
言葉ではなく、
映像で伝えようと試みた、
極めて詩的な作品といえるだろう。

それだけに沁みる人には沁みるが、
わからない人の方が多い気がする。
どちらかというと、わたしも後者で、
けして万人受けする映画ではない。


 
印象に残ったのは、治が麦わら帽子を被り、坂を上る、ラストシーン。
オダギリジョーの表情、立ち姿、動き、背景。全てが美しく、感心した。

ファンならずとも、見惚れてしまうのではないだろうか。ファン必見のラストだと思う。




【作品情報】


  • 公開日: 2025年7月4日(金)
  • 監督・脚本: 玉田真也
  • 原作: 松田正隆の同名戯曲(読売文学賞受賞)
  • 音楽:原 摩利彦