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どんな些細なことでも、原理原則にさかのぼって徹底して考えることが重要。
経営のための会計学を実践するための『7つの基本原則』
①キャッシュベース経営の原則
近代会計では、事実が起きた時に収益や費用があったとして計算する。これを「発生主義」という。経営はあくまでキャッシュベースで考えるべきである。
松下幸之助氏の「ダム式経営」と同義で稲盛氏は「土俵の真ん中で相撲をとる」と言う。
企業が安全経営するには、税引後利益と減価償却費で返せる範囲のお金でしか設備投資をしないこと。
②1対1対応の原則
物と金が動く時には、物または金と伝票が必ず1対1の対応を保たなければならない。これを社内で徹底すれば、誰も故意に数字を作ることが出来なくなる。
③筋肉質経営の原則
京セラでは、機械や設備は中古で間に合うならそれで我慢せよと言ってきた。既に価値のない財産(不良在庫も同じだ)がおいてあり、資産となっていたりする。利益が見かけ上増えて、不必要な税金を払っている場合が出てくる。
設備投資は、減価償却費として固定費の増加をもたらす。正社員が増えれば、それだけ固定費も増加する。固定費の増加を警戒することだ。
④完璧主義の原則
曖昧さや妥協を許す事なく、あらゆる仕事を細部にわたって完璧に仕上げることをめざすものであり、経営においてとるべき基本的な態度である。
部下が休んだときでも、自ら代わって仕事が出来るくらいでなければ、本当の長たる資格はない。マクロだけでなくミクロもわかっていなければ、経営者は自由自在に経営することはできない。
研究開発や製造ではミスが許されない。ところが事務職では「すいません。直します」ですんでしまう。基礎となる数字に少しでも誤りがあれば、結局経営判断を間違ってしまう。
100%は100%なのだ。99%正しければいいだろうは、90%でもいい、80%でもいいとなり、経営は甘くなり、社内規律は緩んでいく。
売上・利益の計画でも95%は達成出来たので許してくださいと言う考え方は認められない。京セラでは、開発スケジュールや管理の仕事の正確さでも完璧な実行を要求している。
⑤ダブルチェックの原則
これは従業員を不正から守るもので、厳しいほど、親切なのである。
入出金なら、お金を出し入れする人と、伝票を起こす人を必ず分けることが原則。ダブルチェックの基本は、「1人で全てが出来るようになっていてはならない」と言う事。また、金額の大小にかかわらず必ず守らせることが、経理の鉄則である。
⑥採算向上の原則
京セラは組織を小さく分割し、各組織が自らの意志により事業展開が出来るようにした。これが「アメーバ経営」と呼ばれる。
一般には標準原価計算が管理会計の常識となっている。しかし、標準原価の目標を上部のマネジメントが過去実績より少し高めに設定している。アメーバ経営では、生み出す付加価値に焦点をあてる。
原価計算を如何に正確にしても、過去の原価に固執して在庫評価をすることは経営を見誤まらせる。ならば、市場の変動を敏感に反映する売価還元原価法は経営者が正確な在庫評価をするために適した方法である。(セブン‐イレブンは売価還元法)
社員から尊敬され、この人の為ならと思われる経営者になるには、自らの人格を高める努力を続けていかなくてはならない。その為には、経営者自身が、誰にも負けない努力を重ねていくことが大切。経営者自身が、エネルギーを現場に注ぐ事、それを「魂を注入する」と言っている。
⑦ガラス張り経営の原則
金利が1%上がれば経常利益はいくら落ちる、何%上がれば利益はなくなってしまう、と言うことを月次決算の度に計算すべきである。
経営目標はトップの意志
経営は、人間の集まりをどうするかであり、心の動きを抜きには考えられない。
経営者として、こうありたいと思う数字を持つべきで、社員全員に「やろう」と思わせるかどうかが大切。
経営目標と言う経営者の意志を全従業員の意志に変えるにはトップダウンしかない。そうでなければ苦労をあえてするような数字は出てこない。周りの者が「一緒にやりましょう」と自然にいうような雰囲気をつくることが必要。
●●ピークパフォーマンス方程式●●
何事も、誰が言った事でも鵜呑みにするのではなく、何故か?を追求したい。
設備投資は、税引後利益+減価償却費の範囲で返せるか?また、設備投資は減価償却費として固定費を増やしてしまうので、常に固定費の増加を警戒しよう。
仕事には完璧主義で望み、自らは人格を高める努力(読書や勉強)を続けよう。 |