調査日誌201日目 -浪江町の木炭商⑦ 大正時代に赤宇木から浪江駅へ運ばれた木材・薪- | 『大字誌 浪江町○○』調査日誌

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旧「『大字誌浪江町権現堂』編さん室、調査日誌」のブログ。2021年3月12日より『大字誌 浪江町権現堂』(仮)を刊行すべく活動をはじめました。2023年11月1日より町域全体の調査・研究のため新装オープン。

2024年5月20日。

 

西村慎太郎です。ここのところ近代の浪江をとりまく木炭産業について検証しています。本日は大正12年度の東京大林区署『林産物売払予告』(東京大林区署、1922年)を見てみたいと思います。この書には東京大林区署が管轄した小林区ごとに木材の特徴が記されています。項目は以下のとおりです。

 

・小林区名

・事業区名

・国

・郡

・村(町)

・大字

・字

・林小班

・樹種

・本数

・用材

・薪材

‣売払予定月日

・備考

 

なお、浪江小林区署は浪江町権現堂に所在していました。

 

今日は津島村大字赤宇木字椚平について見てみたいと思います。椚平については4つの林小班に分けられていたようでそれぞれ「一三、い内」「一三、い内」「一七、は内」「二六、は残」と称されていました。この数字などが何を表しているのか、現在検証中。ここでは①~④と番号を付して見てみたいと思います。

 

赤松 5本 用材46石

欅 5本 用材91石

桜外二 35本 用材168石

楢 831本 薪574石

雑木 778本 薪436石

大正11年10月売り払い

林地ヨリ六町ハ木馬、浪江ニ至ル五里ハ荷馬車ニ依ル

 

赤松 2本 用材4石

欅 7本 用材39石

桜外五 146本 用材920石

大正11年7月売り払い

林地ヨリ六町ハ木馬、浪江ニ至ル五里ハ荷馬車ニ依ル

 

赤松 40本 用材393石

桜外二 86本 用材448石

楢 442本 薪470石

雑木 3855本 薪937石

大正11年7月売り払い

林地ヨリ二十町ハ木馬、約六里荷馬車ニテ浪江町至ル

 

赤松 3本 用材12石

欅外三 9本 用材34石

椚外二 684本 薪2290石

雑木 228本 薪1210石

大正11年10月売り払い

林地ヨリ十五町ハ木馬、約六里半荷馬車ニテ浪江町ニ至ル

 

大字赤宇木字椚平ですが、かなりの規模の木材や薪が産出されていたことがうかがえます。「桜外二」などの記述が何を表しているのか、現在検討中ですが、楢・椚・雑木などによる薪材が特に多く確認できます。実に合計で6818本で、薪5917石に当たります🤩 『浪江町赤宇木の記録 百年後の子孫たちへ』(赤宇木記録誌編集委員会、2024年)でも多くの紙幅を割いて、当該地域の林業を明らかにしています。

 

荷馬車ということで下の写真のような感じだったんでしょうね。