2024年5月20日。
西村慎太郎です。ここのところ近代の浪江をとりまく木炭産業について検証しています。本日は大正12年度の東京大林区署『林産物売払予告』(東京大林区署、1922年)を見てみたいと思います。この書には東京大林区署が管轄した小林区ごとに木材の特徴が記されています。項目は以下のとおりです。
・小林区名
・事業区名
・国
・郡
・村(町)
・大字
・字
・林小班
・樹種
・本数
・用材
・薪材
‣売払予定月日
・備考
なお、浪江小林区署は浪江町権現堂に所在していました。
今日は津島村大字赤宇木字椚平について見てみたいと思います。椚平については4つの林小班に分けられていたようでそれぞれ「一三、い内」「一三、い内」「一七、は内」「二六、は残」と称されていました。この数字などが何を表しているのか、現在検証中。ここでは①~④と番号を付して見てみたいと思います。
①
赤松 5本 用材46石
欅 5本 用材91石
桜外二 35本 用材168石
楢 831本 薪574石
雑木 778本 薪436石
大正11年10月売り払い
林地ヨリ六町ハ木馬、浪江ニ至ル五里ハ荷馬車ニ依ル
②
赤松 2本 用材4石
欅 7本 用材39石
桜外五 146本 用材920石
大正11年7月売り払い
林地ヨリ六町ハ木馬、浪江ニ至ル五里ハ荷馬車ニ依ル
③
赤松 40本 用材393石
桜外二 86本 用材448石
楢 442本 薪470石
雑木 3855本 薪937石
大正11年7月売り払い
林地ヨリ二十町ハ木馬、約六里荷馬車ニテ浪江町至ル
④
赤松 3本 用材12石
欅外三 9本 用材34石
椚外二 684本 薪2290石
雑木 228本 薪1210石
大正11年10月売り払い
林地ヨリ十五町ハ木馬、約六里半荷馬車ニテ浪江町ニ至ル
大字赤宇木字椚平ですが、かなりの規模の木材や薪が産出されていたことがうかがえます。「桜外二」などの記述が何を表しているのか、現在検討中ですが、楢・椚・雑木などによる薪材が特に多く確認できます。実に合計で6818本で、薪5917石に当たります🤩 『浪江町赤宇木の記録 百年後の子孫たちへ』(赤宇木記録誌編集委員会、2024年)でも多くの紙幅を割いて、当該地域の林業を明らかにしています。
荷馬車ということで下の写真のような感じだったんでしょうね。