何故、松本の居酒屋なのか?
16:00に上高地をアルピコ交通のバスで出発し、17:05新島々駅に到着。
そこから17:22発の松本電鉄上高地線にのり、17:52にようやく松本駅に降り立った。
新宿行の特急最終列車「あずさ60号」の出発時刻まで、2時間ほどある。
昨年は車で上高地にきて、疲れ切った身体で1滴も飲めず、ドロドロになりながら運転して帰った。
そんな苦い経験から、今回は列車にしたのである。
せっかくなので帰り道に蕎麦でも食べて帰ろうと調べてみると松本駅周辺には魅力的な居酒屋がおおいことに気づいた。
私が惹かれたキーワードは「日本酒 」、「馬刺し」、「山賊焼き」、「蕎麦」。
これはもう、行くっきゃないでしょ!
何故、松本藩酒場 酒楽なのか?
ネット検索したお店は「風林火山」「松本藩酒場 酒楽」「しんざん」などがあった。
どこが良いか正直なところわからないし、ほぼガス欠状態の身体には一刻も早くガソリン補給が必要なので、とりあえず順番にあたって見ることにした。
最初に行った「風林火山」は評判どおりの人気で、すでに満席。
待ってる余裕はないので、そそくさと退散。
ツレの冷たい視線を背中に感じて焦りつつ、すぐ裏の通りにある、「松本藩酒場 酒楽」に向かう。
まだ18:00ということもあり、すんなりと2階の座敷席に案内された。
思ったより広々していて、ガヤガヤしたところよりも落ち着いた雰囲気で飲むのが好きなワレワレ向きでよかった。
何故、ひやおろしなのか?
壁には美味しそうな信州名物のメニューが所狭しと貼られているが、まずはこれ!
日本酒は好物だが、種類が多すぎてなにが良いかさっぱりわからん?
と錯乱状態になっていたところ、壁の張り紙の中に何やら「ひやおろし」という魅力的なワードを発見!
「ひやおろし」とは、春の新酒を過熱して樽詰めし、夏の間に熟成させて、秋に生のまま出荷…うんぬんかんぬん…お、好物の山廃もある…
すでに疲れて考えることも面倒な状態なので、とりあえず3種類なので左から順番に1杯づつ注文していくことに決めた。
亀の海 信州佐久 純米吟醸 ¥650
大信州 信州松本 純米吟醸 ¥620
真澄 信州諏訪 山廃純米吟醸 ¥650
いづれもアルコール臭のない旨口のお酒で、上から順に、初級、中級、上級という感じであじわいが深くなっていく。
ガス欠だったボディも大満足だ。
何故、馬肉に馬油をつけるのか?
馬刺しに続いて、とりあえず良くわからぬまま、名物と思われるものを適当に頼んでみた。
野沢菜醤油漬け ¥400
信州ソウルフード サバ缶トマトチーズ焼 ¥540
どっさり信州野菜のサラダ ハーフ ¥330
山賊焼き ハーフ ¥600
馬のもつ煮「おたぐり」¥580
取り分け、信州のソールフード サバ缶が目を引いた。
長野はサバ缶の消費量が日本で一番多い。
海から離れた豪雪地帯なの為、魚が手に入りにくいので
保存食として重宝されているようだ。
カレーから煮物まで何でも料理にサバを入れるそうだ。
何故、山賊焼きなのか?
山賊焼きは、大きな鳥のもも肉をまるごと唐揚げにしたものだ。
チキン南蛮のタルタルソースが乗っていないものをイメージすればわかりやすい。
名前の由来については所説あり、大論争になっていたらしい。
➀鶏を揚げる→取り上げる→人の物を取り上げるのは山賊、ということから山賊焼きとなったという語呂合わせ説
➁山賊焼きを考案した塩尻市の店主の顔が山賊に似ていて、考案当初は油が手に入りにくかったので揚げずに焼いていたという説。
➀の説が面白いので、一般にはこの説が知られているが、これでは揚げているのに山賊揚げではなく焼きとなった説明がつかない。
ということで➁が正解で、➀の説は塩尻市で流行っていた山賊焼きが松本市に持ち込まれたときに、創作されたものである。
このことは塩尻市と松本市の間ではすでに決着が付いている。
らしい…
何故、野沢菜醤油漬けなのか?
野沢菜といえば、本場は野沢菜温泉だ。
学生の頃スキーで泊った野沢温泉の安旅館でだされた野沢菜の古漬けが異常に美味しく、食べ放題だったため、ひたすら野沢菜をツマミにビールを飲んでいた記憶がある。
それ以来野沢菜には感心はあったが、美味いと思った野沢菜にはであったことがなかった。
何気なく酒楽のメニューを眺めていると一番最初に野沢菜醤油漬けが!
ビビッとくるものがあり、早速注文。
シャキシャキした食感と醤油と胡麻の旨味。
まさにシンプルイズベスト。
ということで、「野沢菜醤油漬け」がベストオブ「松本藩酒場 酒楽」に決定しました
さらば、松本
20:10発のあずさ60号に乗るために、店を出るとあたりはすっかり暗くなっていた。
松本市民にとっては、夜はこれからとばかりに通りは賑わっている。
もう一軒寄りたくなるが、後ろ髪を引かれる思いを振り切って、列車にのった。
こうして電車で行く上高地1泊2日の旅は幕をおろしたのであった。